342:名無しのパー速民[sage saga]
2019/07/11(木) 23:59:25.37 ID:PTUgAe9V0
>>341
【そうしてきっと彼女はそんな風に思われていること、知らないんだった。アイスを食べて、紅茶を飲んで。――そういうのを気儘にやっている、気取らないなら、自然体とも呼べるけど】
【自然体――まあ自然体、だろう。特別に気取ってなんていなかった、余所行きのようなお洋服だって普段着の温度、しんと口をつぐんで目を閉じて見せたなら、甘い夢に耽る女の子のお人形みたい】
【だけれどもこうして喋って笑ってお茶を楽しむ彼女がお人形であるはずもないから、――代わりにあるのは甘いアイスと暖かな紅茶。きっとほとんど、暖かいお布団の中の甘い夢と同じ意味】
そうなの、……そうなの、でいいのかな。安いやつ買っても、ああこれおいしくないなあ――って思うこと、あんまりなくって。
あるとしたら……――ファミレスのドリンクバーの紅茶。あれはおいしくないね、お湯の温度が、きっと低いんだと思う。
……コーヒーは、よくわからないんだけど。チョコはともかく――トマトの味のコーヒーって、おいしい?
ちょっと……なんだか……思い浮かばなくって――。
【――だから結局は、安くっておいしいのがあるのだから、冒険とか背伸びとかはしなくても大して困らない、ってことなんだろう。でっかい箱で買ってきたら、最後のやつまでおいしく頂けちゃうなら】
【なるほど確かにダージリンとかアールグレイとかすら考えること、あんまりないのかもしれない。ファーストフラッシュ。セカンドフラッシュ。それなあに?とまで、言いやしないけど】
【ただ、――コーヒーの味がトマトって言うのはよくわかんなかったらしい。青っぽい方のトマトなのか、よく熟れた方のトマトなのか。疑問は尽きない、ような、そんな感じ】
――――うん、ふふ、――そう、二十六歳だよ。この間……六月の終わりに。
見えないでしょ、よく言われるの。――――だから、気にしないで? 年齢とか、わたし、あんまり、気にしなくって……。敬語とかも、特別には使わなくていいから。
そんなに"ちゃんと"した大人でも、ないし……。お父さんのお店、こんなに綺麗にしているフィオちゃんのほうが、立派かも――。
【――――やっぱりなんだかフィオのことは揶揄いたくなってしまうのかもしれなかった。ふふって笑っているのが確信犯の声音をしていた。お行儀悪く、机に頬杖ついてみせたら】
【見えないでしょうと言うが本当に見えやしないんだから狡かった。このままどこぞの制服を着て学校に通っていたって問題が全くない、――それをしていないのが大人の証拠?なんて】
【“だから”というわけでもないけど、敬語とか、かしこまるとか、そういうのは一切要らないんだと言って。――あまりちゃんとした大人ではないもの、なんて、理由になっているのかしら】
【(あるいは、フィオの年齢によってはあまり覚えてないのかもしれないけれど――この少女、当時も全く同じ顔をして、どこぞの正義組織で、ボランティアなんて、したりしている)】
【(一時期はテレビでいろいろやっていたりしたものだった。孤児や事情があって食事にありつくことが難しい子供たちのためのボランティア、無料の炊き出し、――"たんぽぽ"なんて名前の、)】
うん。ありがとう――。
【にこり笑ってほおばった分でアイスはおしまい。紅茶も――きっと、あと少し】
/大変お待たせしました……
1002Res/2899.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20