31: ◆1miRGmvwjU[saga]
2019/03/23(土) 22:12:38.34 ID:qRStJCCTo
>>30
「 ────…………… 。」
【痙攣のような機微を男は示した。なにか明らかに動揺していた。それでもそれ以上を示す事はなかった】
【 ─── 諸手を上げて彼は降伏した。掌中には何も収まっていなかった。瞳だけが矢張り灰色だった】
「出来ない相談だな。」「もう少し、妥協してくれ」
【マスクの下に隠した唇が述べた。微かに声が震えていた。動揺であるのに相違はなかった】
【追い詰められた立場の人間としては随分と悠長であった。妥協の余地があるものと信じているのだろうか】
【或いは何らかの時間を稼いでいるのかも知れなかった。少なくとも死に恐怖しない類の人間ではないらしい ─── 雑踏の誰かが携帯電話を取り出した】
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