23:ブラックハート&リベル=アシェル ◆auPC5auEAk[saga sage]
2019/03/23(土) 19:31:49.79 ID:QhqfSCns0
>>19
…………ッ!
<……『冒涜者』の肩書に、偽り無しって訳かよ……ッ!>
【2人は、思わず口元を噛み締める。それが、怒りから来るものである事は、容易に見て取れるだろう】
【尊厳ある個人から、命だけを残して、全てを引き剥がしていく。そんな事さえも涼しい調子でやってのける、そんな奴なのだろうと、2人は理解した】
【――――ブラックハートは、かつての己の『飼い主』を思い出して、ランドは、ただ義憤の故に、怒りを燃え上がらせる】
【あのアーディンが、怒りに我を忘れるのも、無理はないと、共感が一致して】
――――――――だから……だから――――それで、ブラスフェミアの為に、本気で好きだって言える友達を、弟分妹分を、1人残らず、殺していくって言うのかい……ッ?
【夕月の言葉は紡がれ、そして結ばれる。その全てを聞き届けて――――ブラックハートは、やはり低く、呻くような言葉を吐いた】
――――あんたは『化物』なんかじゃない。『人間』だ、呆れ果てるほどに『人間』なんだッ!!
誰かの事を「好きだ」なんて言える奴が……それを殺して回って、血にまみれる事に、後悔しないとでも思うのかッ!?
自分の手で、そばに居て嬉しいと思う人の命を捻り潰して、平気で居られる、そんなつもりでいるのかッ!?
そんな奴は初めから、誰かに心を許したりはしない――――嫌いでもない奴を殺せる奴は、そんなにみんなを好きになったりしないんだよッ!!
【――――『人間』だ。これは自分の最も憎む、愚かしさの代名詞としての『人間』そのものだ】
【ブラックハートは気づく。そして気づいたからには、もう黙っていられるはずがない。仲間たちのために、夕月には、爪痕を残しておかなければならない】
【無意味だろうが、過ちに気づかせる取っ掛かりになろうが、いずれ敵対した時の布石になろうが――――そこに何かを、残しておかなければならないのだ】
――――今のあんたに言っても無駄だろう。けど、これだけは覚えておきな……
そのまま行ったら……あんた死の間際、苦しむぞ、泣き叫ぶ事になるぞ……煉獄の火は、あんたに「これが正解だった」なんて、一瞬だって思わせてはくれないぞ……ッ!
――――レグルスが、愛してたと言った女を、自分で殺した時、どれだけ苦しんだか……夕月、見てなかったから、分からないんだろう……!
……アーディンの旦那たちが、やると言ったら、絶対だぞ……――――例え死んでも、思いを貫く方が大事だって、頑固者……
夕月……あんたもそうなんだろうが――――あいつらだってそうだぞ……あいつらは、死んでもあんたを止める
止められる前に……自分で止まらなきゃ、あんた――――「絶対に後悔する」。これだけは――――何があっても、忘れるな……ッ
【まるで、ifの自分を見ている様だった。グラトンの下から解き放たれなければ――――ブラックハートは、正に今語った言葉の通りに、死んでいただろう】
【――――先に逝ってしまったレグルスと、アルクの事を思い出す。彼らは、今の夕月を見れば――――死ぬだの死なないだの、考えるよりも前に止めようとするだろう】
【だが、哀しいかな。ブラックハートはもう、そんな力を宿してはいないのだ。彼らの様な、我を通す力を、彼女は持ち合わせていない】
【だから、悲鳴のように叫ぶ事だけで精一杯だった。捨て石として命を使うには――――これも残念な話だが、夕月は、彼女の中で、さほどに重くなかったのだ】
【それこそ、夕月の言う『順番』そのものだった。己以外のモノを背負うと、人はどうしてもそうなる。そんな己をブラックハートは歯がゆく思った】
【――――だからこそ言わなければならない。それで立ち止まるにしろ、死の際で後悔として焼き付くにしろ】
【少なくともその歩みは、過ちの道にあったのだと。それを、確信を以て――――】
<……ブラックハート……>
――――行くよ。みらいを……みらいを何とか、この国から運び出さなきゃ、ね……
【ケースの中、正にブラスフェミアの仕上げた『仕事』を携え、ブラックハートたちは去っていく】
【――――戦士の心が、慰められる時は、果てしなく遠いのかもしれない】
/戻りました&ありがとうござましたー!
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