【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
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219:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]
2019/05/15(水) 21:14:33.18 ID:RZRkKN870
>>218
【ふと、麗らかな春の陽気に影が差す。ほんの束の間、太陽に雲がかかったように、周囲の明度が一段落ちる】
【遅れてきた冬の名残を思わせる、一陣の冷たい風が吹き抜けたかと思えば──】


 これ見よがしに戦利品をぶら下げて、どうぞ殺してくださいと言わんばかりだな。
 

【かつん、と硬質な靴音一つ】

【彼の背後に忽然と、何者かの気配が現れ出でる。凛と冷たく透き通った響きを伴う、中性的な声音──振り向けばそこには、女が一人佇んでいる】
【切れ長の目に、鋭い鼻梁。固く引き結ばれた、薄い唇。櫻の面影を残しながらも、櫻国人離れした、亡霊のような白皙の肌】
【肩に掛かるほどの高さで無造作に切り揃えられた烏色の髪は、ほの青く日光を透かして春風に揺れる】
【長身に比例して長い手足を包む、闇に溶けるような群青色の長外套には、裾と袖がゆったりと広がった、櫻で言うところの羽織のような意匠が見られた】

 動きを見たところ、本調子でもないらしいな。
 ……見知らぬ考えなしの馬鹿なら捨て置くところだが、見知った顔では、お節介の一つも焼きたくなるというものだ。

【気配を殺して背後まで忍び寄ったかと思えば、初対面の相手に対し、随分と失礼な口を利く女だが──「初対面」?本当に、そうだろうか?】
【或いは青年は、彼女の顔に見覚えがあるかもしれない。だいぶ長い事目にしていない顔なので、思い出せない、ということもあるかも知れないが】
【彼は、かの水の国の森の奥、湖の只中に座す風霊統主の城内にて。もしくは、その付近にて】
【夜も昼もなくストイックに鍛錬に励む、その剣士の姿を幾度となく目の当たりにしているはずだ。あの頃から随分と年月を経たとはいえ、彼女は未だ、当時の面影を残している】


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