【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
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213: ◆S6ROLCWdjI[sage saga]
2019/05/15(水) 00:22:42.91 ID:h4jMUaMU0
>>212

……消えなくてよかったってのは、あたしの自己満。これを言いたかったってだけだから、本当に――
きっとあんたの言ってることが正しいよ。白神鈴音はもう、消えてしまったほうが、……しあわせなのかもね。
そっか、…………そっか。神社やるなら、今度こそあたしここには来られないかも――

【「ゾンビなの。だから神聖さに中てられたら、浄化されて死んじゃう」 冗談っぽく笑う頬は薔薇色で】
【血の通った色をしているから、やっぱり冗談なのかもしれなかった。そもそもこんなこと、「鈴音」には】
【言ったこともなかったし――やっぱり?八百なのかも。はは、と笑う声に力はなくとも、瞬きは生きていて】

……………………。……人間にも、……戻れなかった、……なんて、
うそでしょ、ウソ……、……なんて、吐くメリットなんか、ないから……ほんとうの、こと、なんだね。
……、……鈴音は泣いてたよ。イルちゃんからもらった身体なんだって笑いながら、……、

あたしそれを、…………嬉し泣きなんだと思ってた、だけどそれも、そうじゃ、なかったんだね。

………………そっか、そっかあ、……じゃあ、あのね、ここが白神鈴音の神社になるんなら。
お祈り、していいかな……あたしほんとはお祈りなんかしちゃいけないバケモノなんだけど、それでも、

【しかしまつげの降りる瞬間に、静かに跪くのだろう。こいつが願った鈴音じゃない、桜花鈴音の御前に】
【両膝をついて、両手を組んで――その左の薬指に環が植わったことすら報告できていなかった】
【何もかもを悔やんでいるのだろう。だからそれはきっと祈りなどではなく、贖罪を冀う、告解でしかなく】

鈴音、ごめんね、…………ごめんなさい。あたしあんたを救ってみせるって、大口叩いて、
目的地もわかってないのにバカみたいに走り回って、それだけで満足しちゃって、……ごめん、ごめん、ごめんなさい!

ごめん、ごめんね、鈴音、りん、ね…………、……っ、あたしあんたの幸せを祈ってた、願ってた!
でもそれが足りなかった、あんたの力になれなかった、寄り添ってあげられなかった! 救ってあげられなかった!
なんにもできなかった! もしかしたら神様になれたかもしれないのに――そのときだってなんにもできなか、った、……、

……………………ごめんなさい、許して、許して、なんて、言っちゃいけないの、わかってるのに、
許してほしくて仕方ないよ、ごめんなさい、ごめんね、……ごめん、けっきょく、たんぽぽ、も、守れなくって、

あたし、………………どうしようもないほどバカで、無力で、それなのに――あんたの友達気取って、
ごめんね、こんなヤツ、傍にいたって鬱陶しかったでしょ? うざったかったでしょ? なのに、
あんたいつも笑ってくれたから――――勘違いしちゃってた、……ほんとに、ごめんね、……ごめんなさい…………。

【泣き崩れる、地面に落とす涙はすべて白神鈴音にのみ捧げられるのだろう。ゆえに勝手に口からまろびでる謝罪も】
【全部全部、白神鈴音のみに捧げている。馬鹿げた話だった。だって鈴音は、水が怖かったの、知ってるのに】
【こんなにたくさんの、涙というそれっぽい呼称をつけただけの水なんか供物として相応しいはずなどなかった】
【なかったけれどそれしかない。捧げる花の一輪すら、こいつは摘んでこなかった――ならば何もかもが、自己満足のため】


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