211: ◆S6ROLCWdjI[sage saga]
2019/05/14(火) 23:27:19.11 ID:cDuJcACk0
>>210
…………桜花鈴音。そっか。そう、じゃあ、、初めまして――。
そっか、……そう。そっか、……そっか。じゃああたしの知ってる鈴音は、
【何かひとつひとつ納得してゆくような、或いは自分に言い聞かせて諦めるような声色にて、返答】
【それはどこか部屋の片づけをしているのに似ていた。使うものはきちんと棚に仕舞って、抽斗に入れて】
【飾るべきものは飾って――そうじゃないものは、箱に仕舞ってしまうか、それか、――――、】
【――いずれにせよ何かをためらうような沈黙の間を置いた。顔はぶさいくなままだった。それでも】
【真っ赤な相貌は相手の表情を見守ることを躊躇しない。ここで目を逸らしてはいけないと悟っていた】
【せめて見届けなければ、自分のやってきたことも、「彼女」のやってきたことも、なにもかも馬鹿らしい話で終わるから】
消えてない、なら、…………よかったかな。よかったかも。
んーん……「鈴音」はなんにもしてないよ。あたしが勝手に会いたいなって思っただけ。
そしたら蛇ちゃんたちが迎えに来てくれたからさ、だから――なんて勝手に期待しちゃった。
でもその期待も、ね、……少しだけ叶ったのかもしれない。
消えなくって良かった、鈴音が――これもまたあたしの自己満でしかないんだけどさ、
……もしかしたら、聞かせたら怒らせちゃうかもしれないけどさ、どうしても言いたいことがあって、
【「……だから」「伝えといてくれる?」「怒っちゃったら」「ごめんねって言ってたって、それも伝えて」】
助けてあげられなくって、ごめんね、って。
――――あたし散々言ってたんだ、鈴音のこと助けてあげるって、バカみたいに言って回って、
でもあたしそんなことできなかった。……できたかもしれなかったのにできなかった。
【きっとそれをどこまでも悔いていた。それを言うまできっと「死ねない」、そう思っていたのかもしれなくて】
【だからこそここに来たのかもしれなかった。そうして、ここに立ち入ることを許してもらえた――のかもしれなくて】
【何もかも「そうかもしれない」に過ぎなかった。けれど。けれど。「白神鈴音」が、まだ消えてない】
【そのことだけがこいつにとっての救いだった。それだけはどうしたって間違えようがなかった。――まだぶさいくに、笑っていた】
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