【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
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197:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]
2019/05/06(月) 01:28:41.53 ID:2duC5ev70
>>196
【酸鼻極まる光景と、それに相反する、無邪気な仕草】
【幾百、幾千の夜の孤独が、如何様にこの幼子の正気を蝕み、この凶行に至らしめたかは、部外者である彼女には知る由もないことだ】

【だが、類推することはできる。寒さに凍える夜。ほんの一時の、体温を持つ人間の暖かさ。死ねばやがて喪われる熱。ぶり返す孤独】
【親より先に逝ったか、親に取り残されて死に損なったかという違いこそあれど、その終わらない業苦は、賽の河原の石積みにも似ている】


 はあ。……私は未婚だ、阿呆め。まあ、いい。菓子だな?いいよ、食ってやる。
 よく黄泉竈食だなんだって言うが──黄泉路に引きずり込まれたんなら、あの世とこの世の境を斬って、無理矢理戻ってくりゃあ良いだけの話だ。
 それが終わったらこの鏡を斬る。魂ごと滅してやろうとも思ったが、そればっかりは勘弁してやる。


【黄泉竈食──死者の国の食物を口にしたものは、二度と生者の国には戻れないという謂れがある。それを警戒し、口にせぬまま基点を破壊する手もあったが】
【どうにも、そういう気分にはなれなかった。仮に罠だったとしても、罠を踏み抜いた上で、力づくで叩き斬ればいいだけの話、と】
【わざとらしい上目遣いに毒気を抜かれて、頭を掻きながら大きく嘆息し。ややあって、朔夜は空いた椅子に腰かけて】


 お前が本当に絵本を読み聞かせてほしい相手も、本当に一緒におやつを食べたい相手も、この世界にはもういない。
 また会いたいと望むのなら、さっさと往生するのがいい。

 ──で、砂糖とミルクは要るか? クロテッドクリームとジャムは……ああ、これか。


【不似合いな説教を口にしつつ、湯気立つカップを手に取ると、匂いを嗅いで「ダージリンか」と独りごち】
【ふと思い出したかのように、幼子にそう問いかけた。要るにせよ要らないにせよ、彼だか彼女だかの望むようにしてやってから、カップを配膳し、スコーンを取り分ける】
【自分の分のスコーンを二つに割って、クロテッドクリームとジャムをたっぷり塗って、一口頬張る】
【クリームの甘みと果実の酸味、生地に練り込まれたバターの香りが鼻に抜けるのを感じながら、紅茶を一口】

 ……夜は、寒かったろう。石造りの塔は底冷えする。暖炉も一人で点けられないんじゃあ、毛布にくるまったってロクに眠れるもんじゃない。
 だから誰かを殺しても構わないってんじゃあないが、まあ、お前が苦しかった、寂しかったっていう気持ちは汲んでやる。

【仮に母親を演じてやる事はできても、そんな物は一時の気休めに過ぎない。故に感じたことを、思ったままに口にする】
【この幼子はどうしようもなく加害者だが、同時に被害者でもある。情もなく斬り捨てるには偲びなく、さりとて甘やかしてやるには、その手は血に汚れ過ぎている】
【「美味いか?」──ぶっきらぼうに、また一つ問いを投げて】


 ……食い終わったら、お前はおかあさんの所に行くんだ。良い子にしてれば、きっと直ぐに会えるだろうよ。
 もし、お前をこの鏡に閉じ込めた奴がいて、そいつがまだのうのうと生きているなら。その馬鹿は私が斬ってやる。余計なことは考えなくていい。


【朔夜は静かに、淡々とした語調で、お前はもう誰かを恨んだり、苦しんだりする必要は無いのだと、溜息交じりに口にしてから】
【にやりと悪どい笑みを浮かべて、「私の怖さは十分よく知ってるだろう?下手人はさっきの三倍は怖い目に遭わせてやるから安心しろ」と嘯いた】


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