【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
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189:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]
2019/05/05(日) 21:30:59.13 ID:dzeJx68X0
>>188

 人が好い、ね。あまりそういう世辞は言われたことがないから、擽ったいな。
 朔夜。人斬りが生業だ──最近はそうでもないが。以後よろしく。

【鍔迫り合いのその最中、相手の名乗りに応じて、女もまた名乗り返す。彼女同様にこちらもまた、生死の境に立ちながら、まるで散歩でもするような気軽な口調だったが】
【口調とは裏腹に、その表情は微かに苦い。──というのも、先の打ち込みで脇差しに生じた『ある変調』が原因だ】
【よくよく注意してみれば、刃の根元の一点に、小さな刃毀れが見て取れる。本来であれば避けえた傷だが、先の一瞬の逡巡が祟って僅かに振り下ろしを受け止め損なった結果だった】


(……こっちは数打ちだが、決して質の悪い品じゃない。利刀の差こそあるだろうが──精進が足らんな、私も)

 なるほど、ギルドに縁の者だったか。私も水の国のギルドとは懇意にして貰っているから、事によってはまた会う事もあるかも知らんな。
 まあ、何はともあれだ。概ね状況は理解できた。やれるだけの事はやってみるから、大船に乗ったつもりでいると良い。


【事情説明を諒解すると、女は鷹揚に、余裕たっぷりの挙措で大言壮語を吐いてみせた】
【先の失策は、おくびにも出さない──とまでは行かぬまでも、努めて気にしない風を装う】
【彼女ならば万が一にもそんな事はないとは思うものの、この手の案件において、被憑依者の精神状態の悪化が事態の悪化に直結する例はそう少なくもない】


 く、ッ──ふふ。どうした、それだけか?

 随分と手ぬるい太刀筋だ。手こずっているようじゃないか……このままじゃあ早晩、自力で体の支配権を取り戻すかもしれないな?

 さあ、どうする?なんなら私に乗り換えたって構わない。何にせよ決断は早い方がいいぜ──


【イストの助言に対し、彼女の選択は現状維持だった。人間には火事場の馬鹿力というものがある】
【古来、幽霊だの悪魔だのに憑かれたとされる人間が恐ろしいほどの膂力を発揮した事例は、枚挙に暇がない】
【足の速さであれ力の強さであれ、単純な出力勝負は極力避けるべきだと言えた。この状況で背を向けるのは、殊に危ない】

【朔夜はイストの体を乗っ取る何者かを挑発しつつ僅かに左肩を下げて踏み込む、掠めさせるような軌道で刺突をやり過ごした】
【相手の手に伝わるのは、がりがりと何かが擦れる硬質の手応え。コートの内部にプロテクターでも仕込んでいたのか】
【これにより後の先を突いて、前に前にと間合いを詰める。左手を自由にし、刀の間合いから拳の間合いへと到達するや否や】
【女が繰り出すのは、鳩尾を狙った左掌底の突き。見れば掌は、微かに陽炎のような空間の歪みを纏っている】
【直撃すればその瞬間勢いよく炸裂する指向性を持った不可視の斥力が、相手を後方に吹き飛ばし、大きく距離を開けるだろう】

【先のナイフが纏っていたものの正体も、おそらくこの力場か】


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