175: ◆KP.vGoiAyM[sage]
2019/05/04(土) 23:52:30.18 ID:qCZlHq0U0
>>173
……いい言葉だ――――
【俺は咄嗟にテーブルの男に向けた銃の引き金にかけた指を離した】
【そして、見えていた。背後で店主が俺にそのタブルバレルを向けていることが】
【俺は人知れず、能力を使った。視界が真っ赤に染まっていき、赤と黒で構成させる】
【赤と黒のブルースは、時間を止める。実際に止めるわけじゃない。考える猶予を能力が与えてくれる】
【映画に良くある手法で『バレットタイム』というものがあるが(銃撃戦とかのシーンでゆっくりになったり止まったりするあれだ)】
【俺の視界はそうなって、ショットガンの散弾を避ける、算段をつける事ができる―――】
―――ッッ!!
【とはいえ、歳だ。考えたとおりに体が動くとも行かず、まるで転がるように背後からの一撃を避ける】
【激しいショットガンの爆音と、床板を撃ち抜く音が真横に聞こえ、俺は店主に向けて銃を向けた】
<Bang!!Bang!!Bang!!>
【床に倒れた俺はなんとか左腕を伸ばし、連射した。カウンターごと。木製のそれは軽々貫通し】
【店主の体に叩き込んだ。44口径に近いそれの威力は十分だ。店主は後ろに倒れ、リキュールが並べられた棚に激突し】
【ガチャガチャと瓶を降らせて、それが割れて。銃声の耳鳴りが消えて、静寂が戻ってくる】
……そいつ、死んだか?
【息が荒い。年だ。俺はせめて冷静に取り繕いながら少女に声をかけた】
――訊かれそうな事を先に答えておく。まず、襲ってくることが予知できていたわけじゃねえ。
未来を知っていたわけじゃない。まずは勘。何かが違った。俺の知っているこの店のはずだがな。
だから、店主にカマをかけた。甲殻類アレルギーだったのはオヤジの方だったはずだ。
…年をとるとな、くだらねえ昔のことばかり覚えているんだ。だが、店主は―――それで気がついたんだ。
―――能力者か、あんた。
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