【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
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169:名無しのパー速民[sage saga]
2019/05/04(土) 23:03:46.80 ID:hplBwCVT0
>>165
>>167

【頭を撫でた手は、優しかった】
【今日会ったばかりで、なんなら名前だって偽名で、フィオは何一つ彼のことを知らないと言っても過言ではない】
【でもそれでも滲む泪は抑えられなくてーーポロ、と一雫。落ちた泪はキラリと水晶に変わって床に落ちたーーそれは彼女が使える魔力の限界を意味していて】
【押された背中、抵抗もなくギアのもとへと向かわせられーー促されるまま、現実へと向かう】
【最後にちらりと振り返って、ギア越しに二人の姿を見れたのか、見れなかったのかーー】

……私のバッグ……

【本当に唐突な戻り方だった。ドラマチックな演出があったわけでも、体を劈く痛みがあったわけでもなく、ただ当然に、ずっとそこに居たかのように立っていて。人々の声も聞こえてきて】
【安堵ともう一つ、よくわからない感情が込み上げてほろほろと目から水晶が零れ落ちる】

制御できなくなってる……

【そう言って列車の、豪奢な椅子に座って心が落ち着くまで一人で座っているのだろう】
【そうやって落ち着いて、列車も無事に目的地に着いて降りる時にでもギアと鉢合わせてーー「怖い夢でした」なんて強がってーーやがて目的地へそれぞれ向かうのかもしれないーー】



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