【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
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154: ◆rZ1XhuyZ7I[saga]
2019/05/04(土) 20:35:53.36 ID:/q2u4W020
>>151


【ずる】


     【ずる】

                      【ずるり】



【気が付けば、時計盤以外の三方にあるステンドグラスに外側から何かが張り付いている。】
【それは触手だった、数十メートルにも及ぶかという巨大な触手がこの空間を取り囲もうとしている。】
【オッツタルヴァはその光景を横目で見ながら口元を緩める】

【そして、二人へと視線を流す。】


『二人とも、飲まれるな。』
『彼女が言うようにこれは人の精神に感応している悪夢のようなものなのだろう。』
『故にこちらが反応すればするほどに相手の思うつぼだ、付き合う必要はない一撃で決めるぞ。』


【『マリアベルとやらに一点集中しろ、周囲は私がやる』】
【そう言うと今にもステンドグラスを破らんとする触手に視線を向けてオッツタルヴァは剣を構える。】


【ずる】


      【ピシリ】


                                【ガコン】


                
                            【ガシャァァァァァッッッン】



【一呼吸のあと、触手はガラスを突き破り濁流のように内部へと流れ込む。】
【触手には無数の眼がついておりその一つ一つがギョロギョロと動き回る。】
【オッツタルヴァはそれに向けて高速で剣を幾重にも振る。】
【流れ込む触手は一瞬で細切れになり、それを踏み越えるように次の触手が流れ込む。】

【すかさず刃を振るうが、オッツダルヴァの体力がどこまで持つのか―――】
【ただ一点、触手が流れ込まない時計盤の前に座るマリアベルへの道は開けたままだ。】
【マリアベルはただ微笑んでいる、まるで児戯を見る母親のように。】


【オッツダルヴァの言葉を信じ、ただ一撃に全てを込めるべきか否か。】


【彼は二人に背を向けて斬撃を放ち続けながら視線だけを後ろへ向ける。】


『フィオくんと言ったか、それはきっと違う。キミの体質がどうあれこの結果はなるべくしてなったものだ』
『だがそこに自責の思いがあるのなら―――ただ前へと進め。』


『ギア・ボックス、彼女の道をサポートしてやれ。』

【『任せたぞ』とそれきりオッツダルヴァは口を開かなかった。】



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