110:名無しのパー速民[sage saga]
2019/04/25(木) 22:51:15.86 ID:eglF3Egj0
>>109
【渾身の銀閃が煌いて、――結果的には彼女に血を流させることには成功した】
【しかしイストの意識は既にそこにはない。掌に残る硝子を砕いたような手応え、眼の前で展開されたそれを、】
障壁の展開、か。なるほど、これがキミの異能というわけだね。
興味深い……ふふ、楽しくなってきた!
【思わず、真っ先に楽しんでしまうのが、この女の性だった。砕ける障壁のその一欠片すら"蒐集"せんと、しかとその光景を見届け】
【そうしたならばようやく、ギンコに意識を向けた。反撃が来るかと思いきや後方へ退かんとするその矮躯を、熱に浮かされた瞳が追う】
【夜天に揺れる銀の髪に、月の兎を幻視した。愛らしくも美しくもあり、――油断すれば狩り殺される。その殺気を感じ取って、】
【――ならば輝く月輪ごと、わたしはキミを撃ち墜とす。瞬時に、そう考えた】
さあ、来なさい。――勝負と行こうか!
【刀を一度、鞘に収める。桜色が舞う。先ほどまで展開していた蔓がするりと袖口に戻れば、次に現れるのは――太い"木の枝"だ】
【べきべきと痛々しくも逞しい成長音を響かせ、その木は肥大し、弧を描き、さらに細く編み込まれた蔓がそれを繋ぐ】
【―― 一瞬のうちに出来上がるのは、木製の"弓と矢"であった。その器用な錬成術は、"植物"でさえあれば変幻自在に操れる、そういうわけか】
【石の鏃を持つ矢を番え――"石"?――、弓を強く強く引き絞る。落下速度を計算して、狙うは彼女の腹の芯】
【そして――ギンコの目が良ければ。ほんの少しだけ、矢の一部であの桜色の粒子が散ったのが見えたかもしれないが、】
【――――手を離すだけの行為に、一秒と時間はかからなかった】
【目にも留まらぬ速度で、太い木の矢が風を切る。狙いは正確、刺されば血みどろ。――闇を穿ったこの一射を、ギンコはどう受け止めるのか】
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