102:名無しのパー速民[sage saga]
2019/04/25(木) 19:33:01.47 ID:eglF3Egj0
>>101
【――はてさて。まず最初に述べるならば、女はまごうことなき変人である】
【先に言ってしまえば、この路地に迷い込んだ理由も"幽霊を探しに来た"という訳のわからないものなのであった】
【人並みの良識を持ち合わせているなんてお世辞にも言えない。――しかし、ただひとつだけ、】
…………これはまた、参ったね。
荒事ぐらいは想定のうちだったんだけどな。
【予想の百倍ぐらいひどい、なんて。異臭を察知してなんの迷いもなく突き進んだその先で、女は思わず自嘲する】
【血だまりに転がるかつてヒトだったものを前に――やや顔を顰めはするも、悲鳴を上げることも逃げ出すこともせず】
【この状況にあっていっそ清々しいほど真っ直ぐな視線で、下手人の彼女を射抜くのだった】
見逃してくれって、それはどっちかっていうとこっちの台詞なんじゃないかなぁ。
背を向けて逃げ出した瞬間に首と胴体がサヨナラしてそうな予感がプンプンするんだけど……わたしの気のせい?
【そんな風に、友達にでも語るかのような調子で笑いかけたなら――女は黙って腰の刀に右手を添えるだろう】
【あるいは踵を返せば本当に見逃してくれるのかもしれない。しかしどうしても、"そいつ"に背中を向けるなという本能の警告が消えない】
【逃げるよりも、戦ったほうがまだ生存確率が高い。それが女の出した結論で、それ故の臨戦態勢であった】
【――、いや】
【それ以上の理由も一つだけある。そう、ただひとつだけ、この軽薄な女にも明確に嫌いなものがあったからだ】
それで、……そのヒト、なんで殺した?
【女は――無意味な人死にというものが、なにより嫌いだった】
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