146:読書[sage]
2019/04/11(木) 18:30:21.14 ID:Nxoa9R2Y0
C■~ *内田樹「子どもは判ってくれない」(洋泉社 2003年)
☆いつも通りの内田節。いつも通りタイトルは関係なし。
「ためらいの倫理学」「おじさん的思考」「期間限定の思想」に続く4冊目のウェブサイト日記からのまとめ本
223 カフカの『城』の不条理性は、そこに城があり、城に保護されたり寄生したりして暮らしている人間たちが現にいながら、それらの人々の誰一人、城を代表することができず、Kの抗議や要請や問い合わせに全員が「それに答える権利が自分にはないんです」と哀しげに突き放す「とりつく島のなさの不快感」に存ずるのではないか、と私は思う。
*内田樹「村上春樹にご用心」(ARTES 2007年)
☆読みやすいね♪。こうも春樹が文壇等からないがしろにされてるなんて知らんかった。
40
村上春樹は(フランツ・カフカと同じく)、この地図もなく、自分の位置を知る手がかりの何もない場所に放置された「私」が、それでも当面の目的地を決定して歩き始め、偶然に拾い上げた道具を苦労して使い回しながら、出会った人々から自分の現在位置と役割について最大限の情報と最大限の支援を引き出すプロセスを描く。その歩みは物語の最後までたどりついても、足跡を残したごく狭いエリアについての「手描き地図」のようなものを作り上げるだけで終わる。
そえはささやかだけれど、たいせつな仕事だと私は思う。
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「父のいない世界において、地図もガイドラインも革命綱領も『政治的に正しいふるまい方』のマニュアルも何もない状態に放置された状態から、私たちはそれでも『何かよきもの』を達成できるか?」
これが村上文学に伏流する「問い」である。
43 冬ソナ
「韓流ドラマ」とひとくくりにするが、『冬ソナ』はやはりひとつだけ「ものが違う」。だから、世界性を獲得しうるのである。『冬ソナ』ははじめ台湾でブレークして、そこから日本に飛び火した。けれどもこれは日中韓だけの現象ではないだろう。いずれ『冬ソナ』がフランスで大人気とかロシアでブレークをいう話を聴いても、私は驚かない。
204
村上春樹の小説のテーマは『邪悪なものが存在する』ということ。
209
これらの物語(『城』『異邦人』『グレート・ギャツビー』『フランシス・マコーマーの短い幸福な生涯』)はすべて「この世には、意味もなく邪悪なものが存在する」ということを執拗に語っているのである。
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