デジモンSS デジモンがいる世界にて 黒髪少女と若きチャンピオン
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名無しNIPPER
2025/02/05(水) 18:45:23.59 ID:CFVbK6Iv0
19XX年、人類ははじめて異世界・デジタルワールドからの電子的生命体・デジタルモンスター……通称デジモンと出会った。
デジモンは人類とは異なる生態をしており、特に自らを強い存在にするべく進化するという。
最初に出会った人類の子供達はデジモン達と友情をはぐくみ、共に旅をして、そして強い信頼関係を築いていった。
そしてその子供達が大人となるほどの時代が過ぎた今となっては、異世界からの未知の生命体は、我々にとってのよく知る隣人になった。
人類すべてにパートナーデジモンが有していると発表されているこの現在では、一人にデジモン一体という割合で共に生活しているという。
そんな人間とデジモンという二種族が共に生活しているこの世界で『彼ら』は生きている。
某所。
見渡すほどの巨大なスタジアム。その中心には二体のデジモンがぶつかりあっていた。
一体は半分機械化された青い恐竜のような見た目のデジモン、もう一体は青い体躯と大きな両翼を有する二本角のデジモン。
彼らは己をかけてぶつかり合っており、その激闘を観客席にいる観客達は息を吞むほど見入って応援している。
そんな中、実況席にて実況者の男性が今の状況を熱く口にしていた。
「さぁ、試合も大詰め! チャレンジャーのメタルグレイモンの一斉掃射攻撃を、チャンピオンが駆るエアロブイドラモンが避ける避ける! まるで戦闘機のアクロバット飛行のごとく華麗に飛んでいく!」
実況の口回しが熱くなっていく一方で、スタジアム内のフィールドを縦横無尽に駆け巡る二本角のデジモン。
自慢の両翼で飛ぶ青いデジモン……エアロブイドラモンは、相手である機械化した体を有するデジモン……メタルグレイモン(ウィルス種)の攻撃を華麗に回避している。
その背中には、チャンピオンと呼ばれたゴーグルをつけた青年が乗っている。
メタルグレイモンの銃火器攻撃をかわし切った後、フィールド圏内ギリギリの上空範囲まで舞い上がると、パートナーデジモンでもあるエアロブイドラモンの背中に乗りながらチャンピオンは軽口を口にする。
「いやぁ、楽しいねえ……危険なスリルとの対決! これもチャンピオンの役得だぁ!」
ニヤリと口元で笑うチャンピオン。それに対しエアロブイドラモンは呆れた声で彼を叱咤した。
「おい相棒、楽しむのはいいがそろそろ奴さんはしびれを切らす頃だぜ?」
呑気に頂上決戦であるこの試合を楽しむチャンピオンにそう言うと、エアロブイドラモンはチラリと下の方を見る。
そこにはスタジアムの上ぐらいに飛んでいるメタルグレイモンとチャレンジャーの姿があった。
イラつきを示す様に唸り声をあげるメタルグレイモンと、いかにも焦った様子な目深に被った帽子のチャレンジャーの様子が伺えるだろう。
下手に弄れば相手はどんな行動を示すかわからない……もしかしたら、やけになって大技を仕掛けるかもしれない。
それを悟ったチャンピオンはエアロブイドラモンの叫ぶ。
「おし、じゃあちょっと本気やっちゃいますか!」
「最初からそうしろ……いくぞ!」
チャンピオンからの呑気さを感じられる言葉にツッコミつつも、エアロブイドラモンは不敵に笑った後、一回だけ羽ばたいて地上目掛けて降りていく。
目に見えぬほどの速度で急降下していくその姿は、まるで夜空をかける流星のごとく。
煌めく青い流星の如く飛んでくるその光景を見て、メタルグレイモンに乗っていたチャレンジャーは視認した途端叫んだ。
「メタルグレイモン、迎え撃て!」
チャレンジャーの言葉を聞いて、メタルグレイモンは胸部装甲を展開。そして露わになった二つの発射口から強烈な威力を誇る生体ミサイルを繰り出す。
「ギガ、デストロイヤー!!!」
メタルグレイモンから放たれたその必殺技の名は、ギガデストロイヤー。
当たれば一撃必殺を間違いなしな生体ミサイルは、こちらへと向かってくるエアロブイドラモンへと向かって飛んでいく。
迫る二本の生体ミサイルに、エアロブイドラモンは真っすぐ飛んでいき、避けるしぐさもしない。
……むしろ急降下していくその速さを速めるようにも見えた。
何かがおかしい、とチャレンジャーが一瞬訝しんだ直後、次に見えたのは青いV字の軌跡であった。
「Vウィングブレード!」
数メートル先にあったギガデストロイヤーの生体ミサイルをかいくぐり、超速度による空中突撃をメタルグレイモンへと叩き込む。
エアロブイドラモンが放ったVウィングブレードの一撃は、相手を戦闘不能にさせるには丁度なほどを誇る威力であった。
強烈な一撃をメタルグレイモンはその巨体をゆっくりとスタジアムのフィールドへと倒れる。
……その際にチャレンジャーは空中へと投げ出される。
「あっ」
相棒であるメタルグレイモンが倒れ、空中へと投げ出された今、ゆっくりと落ちていく。
……そのはずだったが、青い影が見えた後、しっかりと筋肉がついた片腕が抱きかかえていた。
チャレンジャーは不意に見上げると、そこにはゴーグルを外して二ヤリと笑うチャンピオンの姿があった。
「へぇい、楽しめたか? しっかし、意外とかわいい顔してるじゃん」
不敵に笑うチャンピオンに抱えられたその子は、帽子で隠していた長くふんわりとした黒髪を垂れ流した。
帽子で顔よくは見えなかったが、男の子にしては愛らしい顔たちをしている女性の顔。
いきなり助けられた出来事にきょとんとしている彼女をよそに、勝利が確定したブザーとアナウンスが響き渡った。
「第24回デジモンバトル 決勝トーナメント、優勝はチャンピオン・皇海(すかい) ソウハだ!!!」
観客達の歓声が終わりを告げるように、大人気スポーツであるデジモンバトルは決着がついた。
これが、この世界の日常である。 (続く)
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