14:名無しNIPPER[sage saga]
2025/01/04(土) 21:49:10.41 ID:4VUIgo16o
どこを走っているのか分からなかった。
ずっと涙がこぼれ続けていた。
どこかが痛かった。どこが痛いか分からなかった。
止まったら追いつかれる気がした。何に追いかけられているか分からなかった。
逃げ出したかった。ありとあらゆるものから逃げ出したかった。
あの笑顔を消し去りたかった。この醜さを消し去りたかった。もう消えてなくなりたかった。
駅が見えた。私が乗るはずの電車。運命だと思った。
全速力で走った。
人ごみをかき分けて、光が見えた。
迷いはなかった。
力いっぱい踏み切った。
全身が、白い光に包み込まれていく。
やっと、やっとだ。これでやっと……自由になれる。
手を、引かれた。
光が遠のいた。
私の身体は境界の内側に引き戻された。
そして代わりに、あの子が光に包まれていた。
白い光の中のあの子はまるで天使のようだった。
あの子が私を見ていた。
笑顔だった。天使のような、笑顔。
世界があの子でいっぱいになった。
そして
「あ」
霧のような赤色がそれを上書きした。
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