【安価】心の闇と向き合うRPG『テイルズ・オブ・ユベル』【コンマ】
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275:ノベルドーパント[saga]
2024/09/08(日) 20:25:54.87 ID:B5HC2T7t0
>>273 3 >>274 2


……断わっておくが、俺にとって一番大切なのはあくまで妹のリリアだ。ローエンの質問にも答えたが、彼女とリリアならば俺は迷わずリリアを選ぶ。……俺には、彼女の心を開かせられなかったんだから。

だが、しかしだ……。


〜〜〜〜〜〜

バチィン! と何か頬を引っぱたく様な音が、魔道士団の女子寮から響いてきた。俺は自分の直感に応じるままに、入り口のおばちゃんの制止を振り切って中に入る。


女魔道士A「アンタ、こんどは一体何をして別国からの使者様に取り入ったのよ!?」

女魔道士B「王都に招待されることになった、それも三国の王の勅命ですって!? バカ仰いなさいな! きっと何かの間違いよ、このいやらしいメス豚が!! 薄汚い娼婦の女から出産すら見世物にされたってアンタの事は、この街の誰もが知ってるんだから!!」

シアン「……言いたいこととやりたい事はそれだけ? なら早く出ていって欲しい。明日の朝まで時間が無い……」

女魔道士A「──ッツ! このっ「それ以上シアンに危害を加えるつもりなら、オレは遠慮無くお前の首を落す」──」ゾゾゾゾゾゾゾゾゾッ!

俺は自分でもビックリするぐらいの冷酷で冷たい声を出して、女魔道士Aの首に後ろから剣を突きつけていた。余程驚いたのか、その女魔道士は息をするのも忘れて全身に鳥肌を立てていた。


女魔道士B「こ、これはこれは防衛隊長様、ご機嫌麗しく……。ですがここは男子禁制の女子寮で「『魔道士の結束第1。いつ如何なる時も仲間の誇りや矜持を重んじあい、互いに助け合うこと』……今のお前達に、魔道士を名乗る資格は無い。……とっととこの部屋から消えろ」──クッ!」

シアンを虐めていたであろう女魔道士達は俺の吐いた言葉に恐れを成したのか、即座に部屋を出て行った。それを確認したあと、俺はシアンにヒールの魔法を掛ける。


シアン「……この程度、ダメージにも入らない。魔力の無駄」

テイシロウ「前にも言ったと思うけど、お前が傷つくと俺も傷つくんだ。ナイトや忍者……タゲ取り役の役目を担っている奴は、みんなその仕事に誇りを持っているって父さんが言ってた。……もう一度言う、お前が少しでも傷つくと、俺も傷つく。頼むから覚えておいてくれ」

シアン「……分かった」

……ダメだ、本当の意味で分かってくれているとは思えない。……クソッ! 一体どうすればシアンを……


〜〜〜〜〜〜


孤児院の子供A「いっけー! 俺の『ゴーレム』軍団!!」

リリア「負けないよ! マナを12枚墓地に送って『雷神トール』を『全能神トール』に『古代回帰』!! 相手の場と手札のマナ12以下のモンスターと呪文を全て墓地に送る! それは効果を使用出来ず、再生する事も出来ない!!」

孤児院の子供B「えっ、それ最新弾のSSRカードじゃん! リリアちゃんもう手に入れたの!?」

リリア「えへへ〜。お兄ちゃんが『俺は自分の信じるデッキがあるから』って、くれたんだー♪ 約束通り、この試合が終わったらみんなにも貸してあげるね!!」

孤児院の子供C「ほんとリリアの兄ちゃんすげぇよなぁ……。この街の防衛隊長だし、研究者でも匙を投げるって言う魔導書を読めるし、決闘遊戯もメッチャ強いし……雑魚カードばっかり入ったデッキの筈なのに……」

孤児院の子供D「私、大きくなったらテイシロウさんのお嫁さんにして貰うんだ〜♪」

リリア「だ、ダメッ! それだけは絶対ダメ!! じゃないと明日王都に出発したまま帰って来ないからね!?」

ギャーギャーと騒ぐ子供達の声が耳に心地良い。さっきまでのささくれ立っていた心が癒やされていくかのよう「ねぇお兄ちゃん! 早く続き読んでよー!!」おっと、そうだったそうだった。今日の自由時間が終わるまでにはこの本を読み終わってやらないとな。


テイシロウ「じゃあ続きを話すぞ? とうとう身ぐるみすら無くなってしまった少女は〜〜〜〜〜〜」



シアン「…………」

孤児院の院長「……混ざらないのかい?」

シアン「私が混ざると、みんなに気を使わせる……だから良い」

孤児院の院長「…………シアン、これだけは覚えておいておくれ。誰かに心を開かないと、自分の世界を広げないと、本当に大切な物を見失ったまま生き続けることになる。……この際テイシロウくんじゃあなくても良い。この旅でお前が一回りも二回りも大きくなって帰って来てくれることを祈っているよ」

……………………誰かに心を開く? それもテイシロウに? …………↓1(コンマ判定。現段階での抵抗感。補正+200)



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