33: ◆b0/EDFEyC136[saga]
2024/08/12(月) 22:58:02.36 ID:92/7nx8r0
『…………ぐぅ』
パピヨン「ぷぷぷ、間抜けなキモい寝顔晒してる〜』
飛行機の中。隣の席のお兄さんがすやすや眠っているのを見て笑いが止まらない。窓の外はすっかり暗くなっていて、周りの人も大体が眠っている。
アタシも行きはぐっすり眠ったけど、今日はなんだか眠れなかった。だからこうして起きているんだけど……いやいや、良いものが見れた。
パピヨン「まずは写真を撮って〜……後でウマッターに晒そ。そんでリュックから取り出すのはマジックペン〜」
さて、どんな落書きをしてやろうか〜?
…………。
パピヨン「……はぁ、まあ今日は止めてあげるか」
お兄さんもアタシもなんだかとても疲れた。優勝パーティーとか、写真撮影とか、インタビューとか……正直インタビューのほうは何喋ってるのか全然分かんなかったけど。翻訳さんがいなかったら終わってたよね、ほんと。
……一緒に来ていた日本のウマ娘さんにも滅茶苦茶おめでとうって言われたし、ウマッターとか電話でもお祝いのメッセージが沢山来た。
パピヨン「…………アタシが、世界を」
夢じゃない、ちゃんと現実なことは理解している――けど、どうしても信じられない。あのアタシが、誰からも期待されなかったアタシが――今こうして、存在していることが。
『…………すぅ』
パピヨン「どれもこれも、全部……お兄さんのせいなんだからね』
――あの日声をかけてくれなかったら、あの日走りを見てもらえなかったら、お兄さんがトレーナーじゃなかったら――アタシは今頃、どうなっていたか。
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