『仮面ライダーW』翔太郎「安価とコンマで依頼を解決する」『安価&コンマ』
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103:ノベルドーパント[saga]
2024/07/06(土) 15:27:32.05 ID:tfQRhupw0

翔太郎「仮に君がもっと早く立派になっていてもドラえもんはきっと、死ぬまで一緒にいた筈だ。ウソ800って奴で約束したんだろ?」

のび太「あ……」

翔太郎「君が殺したんじゃない…ドラえもん自身が生きることを選んだんだ! この時代で、この町で、大好きな君やみんなと最後までずっと一緒にいようって!! じゃなきゃあロボットでも気が狂うような長い時間をこんな場所で過ごすもんかよ!! 君を自動学習装置に閉じ込めて、人生において大切な事を無理矢理学ばせるって事だって出来たんだぞ!?」

のび太「……でも、僕は……」

しずか「のび太さん……」

翔太郎「自分の罪を、悪いところを数えることができる。なんてことの無いように思えるかも知れねえけど、普通に大人になっていっても中々できることじゃねえしそれはとても立派ですげえことなんだ。君が君のペースで十分立派になったところを見届けることが出来たから、ドラえもんは思い残すことなく安らかに眠れたんだよ……だからドラえもんは君に道具を残したんだ。自分の死を、君が受け入れて、それでも起ち上がってくれる事を信じてな」

のび太「…………でも、僕はもっとドラえもんと一緒にいたかったです」

翔太郎「…………ああ、そうだな。その気持ちは、俺も痛い程理解できる。だからこそ、胸を張れ! 前を向け!! 『君はこれから何度もつまずくと思う。でも、その度に立ち直る強さも持っている』んだろ」

のび太「…………!!」

俺の言葉じゃねぇ。かつてドラえもんが、のび太くんに掛けてやった言葉だ。フィリップ曰く、自分でも訳が分からないけど思わず泣いてしまうような名台詞が、この子達の間では何度も交わされていたという。……それだけこの子が……ドラえもんって奴がのび太を好きだった証拠だ。強く、逞ましく、立派で、何度失敗しても起き上がる強さをもって、人生って奴を謳歌して欲しい。……だからこそ、自分に残された全ての時間をのび太や友人達の為に使ったんだろう。


ジャイアン「たっくよぉ……じ、自分一人だけで無茶苦茶なこと勝手に決めて、勝手にやり遂げて、勝手に死にやがってよぉ!! あの世に行ったら思いっきりぶん殴ってやるぜ!!」

スネ夫「僕は自慢話を沢山聞かせてやるよ。……ど、どれだけ裕福で人に羨ましがられる人生を送ったのか聞かせてやるんだ!!」

しずか「……ねぇ、ドラちゃん……見てる? 私達、全員立派に大人になって、結婚して、それぞれの人生を歩んで、いつかあなたの所に行くからね……」

ボロボロと涙をこぼす街の人達に思わず呆れて、俺は空を仰いだ。……たっく、晴れだってのに雨が降って来たがったぜ……。


のび太「ドラえもん……少しずつだけど、僕はきっと君の望んだ、素敵な人生を手に入れられる人生を送ってみせる。だから…………心配するなよ、ドラえもん」





〜〜〜一ヶ月後〜〜〜


翔太郎「おいフィリップ! 次は俺の番だったはずだろ!! 早く本を貸せよ!!」

フィリップ「もうちょっと! もうちょっとだけで良いから読ませてくれ!! 今もの凄く良い所なんだ!!」

亜樹子「ちょっとちょっとー!! 次の次は私の番なんだから早くしてよねー!!」

ときめ「私も……読んでみたい」

俺達の事務所の秘密のガレージは、てんやわんやの大騒ぎだった。あのフィリップが『この本レベルに素晴らしい物語なんて、人類史でも数える程しか存在しないだろう』と言うもんだから試しに借りて見たらこれがマジで面白いのなんの!! 笑えるわ泣けるわ楽しいわ感動するわ為になるわで今や俺達の探偵事務所は『ドラえもん』の本の取り合いになっている。


ああ、事の顛末だけど『報酬』とやらは受け取らなかった。結局ドラえもんは見つけられなかったし、なにかメッセージを発見できた訳でも無かったからな。代わりにのび太くん……のび太に『自分らしく、いい人生を送る事』を約束させて、事件は──あっこら亜樹子! テメェ順番無視してんじゃねぇぞ!! 次は俺の番だっつーの!!


第二話 Dの運命/君にさようならを〜 完



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