異説 ひのきの棒と50G
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46: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/16(火) 21:05:20.69 ID:neaYQz3o0

 父上の口が、微かに動いた。
 だが出てくるのは、赤い泡ばかりで声になっていない。
 いや、父上は声にならずとも僕に何か伝えようとしているのだ。
 僕は、父上の口の動きに意識を尖らせた。

「た」「す」「け」「ろ」

 僕は、息をのんだ。
 「たすけろ」。それが、父上の最期の言葉であることは明らかであった。
 僕は、回らぬ頭で父上の言葉の意味を必至で考えた。
 騎士道を修めた父上が、僕なんかに助けを乞うはずがない。
 


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