832: ◆OX0aJKbZO.0H[saga]
2024/07/07(日) 21:56:37.28 ID:5wtNQhHU0
――――カペラステークス当日。中山レース場の控にでパピヨンと自分は居た。
レース展開や走り方、他出走者の最終確認と。レース後にむやみやたらと煽らないことの注意を数回して、体操着姿の彼女を送り出す。
『――行ってこいパピヨン。キミの走りを見せつけてこよう』
パピヨン「おっけーお兄さん。2番人気とか見る目がない人たちにアタシの走りでビビらせちゃう!」
『言っておくが、本当に煽ったりするなよ。なあ、何回も何回も言うが』
パピヨン「あー!はいはい分かってます分かってます!お兄さんほんっとーにしつこい!そんなんだからモテないんだよ?」
……それとこれとは話が違うように思う。けど、まあ……下手に言い返すつもりもない。
パピヨン「ぷぷぷ、もしかして図星〜?ちょっとは言い返してくれないと張り合いがないんですけど〜」
『ほら、早く行った行った。キミのファンが待ってるよ』
パピヨン「はいはーい」
――――「海外のダート!G1!獲るよ!」なんて、言葉を聞いた時は驚いた。が――正直嬉しいとも思った。
ライバルと戦うためにレースを選ぶのでもなく、自分の提案に乗っかるのでもなく。自分自身で考えてこのレースに出たいのだと言った。
真っすぐな瞳で、自分を見つめながら。海の向こうの大舞台で羽ばたきたいのだと、パピヨンが言った。
『……ならここでは負けられないよな』
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