732: ◆OX0aJKbZO.0H[saga]
2024/06/24(月) 23:41:09.02 ID:9zd8qTaz0
『来月の東京盃――これに出よう』
エルムステークスからクラスが上がりG2、東京盃。マイルこそ走れるようになったが、パピヨンの真骨頂は短距離――きっとそこでも勝つことが出来るはずだ。
パピヨン「お、短距離じゃん。お兄さんもしかして――見たくなっちゃった?」
アタシがぶっちぎりで逃げ切って勝っちゃうところ?と、ニヤニヤ笑いながらパピヨンは自信たっぷりに言ってのけた。確かにそれだけ自信満々になる気持ちもわかる、しかし――久しぶりの実戦での短距離。そううまくいくとは思わない。
『……それに、東京盃と言ったら――ブラックマンティスも出走する』
パピヨン「……!」
あの日の模擬レース以来、たまに併走に付き合って貰ったりすることの多いブラックマンティスとは、ここが初めての対決。全てを切り裂く末脚と、圧倒的な迫力。あれを身をもって感じたことのあるパピヨンなら、その恐ろしさも分かっていることだろう。
パピヨン「ふーん……じゃ、アタシマンティに謝らないとじゃん」
『ん?』
パピヨン「アタシ、この前マンティに次のレース応援するね〜。とか言っちゃったけど、それは無理だなーって」
『……なるほどな。まあ、程々にな』
パピヨン「はいはーい。別に慢心はしないけど、ちょっと気合い入れて練習しなくちゃね」
――久しぶりの短距離だからか、気合も十分。これは良いトレーニングが出来そうだと、心の中で笑う。
パピヨン「ま、そのためにも英気を養わないとね。お兄さんちゃんと冷蔵庫にアイス入れてる?貰っちゃうねー」
『…………』
ダメかもしれないと、心の中で悲しくなった。
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