643: ◆OX0aJKbZO.0H[saga]
2024/06/12(水) 01:09:18.48 ID:q8ximHrP0
――アタシには夢がない。走りに対する思いとか、願いとか。そんな大層なものは存在しなかった。
けど、今のアタシには……それっぽいのがある。ステラライムのライバルになって――期待に応えて、そして。
…………勝つ。全員の期待に応えて、しっかり全部背負って、堂々の一着で。勝つ。
パピヨン「まずはエルムステークス。そこで勝って――ライムの場所まですぐに戻るよ」
ちょっと最近負け続きだったから、同世代最強さんの近くに早く戻ってこないと。
ライム「ふふっ、なんですかそれ。パピヨンさんはずっと、アタシと近いところに居たじゃないですか」
パピヨン「アタシにはアタシなりに思うところがあるの!はー、そんなんじゃ彼氏くんとの関係長続きしないんじゃないの?」
ライム「あっ!あ!あー!!!それはもうやらない約束じゃないですか!あー!しかも……は、はぁ!?彼氏じゃないですし、長続きしない……!?」
パピヨン「ぷははははは!」
――――こんなことを言っておいて負けるかもしれない。けど、もうアタシは――折れないよ。
未来がどうなるかなんて分からない、けど――だからと言って全部ダメにしちゃうのは良くないことだって。お兄さんに言われたから。
まだまだアタシは走り続ける。たとえどうなろうと――アタシは、応え続ける。
――もう二度と背負ったものを放り出したりしないから。
パピヨン「あーおもしろ〜……って、へ?な、なに?その怖い顔……あー!デコピンしようとしてる!ちょっとシルフィーにマンティ!この人暴力!暴力振ろうとして――あ"ー!」
アタシの叫びは丁度一番大きな花火の音と重なって、聞こえなかったみたいだった。
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