624: ◆OX0aJKbZO.0H[saga]
2024/06/10(月) 02:07:52.25 ID:oJ/bhrfl0
パピヨン「――お兄さん、もしかして寝不足?」
ミーティングの最中、【貴方】の担当ウマ娘シルヴァーパピヨンが突然そんなことを訊ねられ、心の中で「しまった」と呟いてしまう。
別にそんなことはない、と返すも彼女の眼はジトーっと疑いの視線を向けている。こういう時の彼女は勘が鋭いし、頑固だった。おそらく誤魔化すことはできないだろう。
パピヨン「目の下のくま、隠せてないよ〜?それになんか最近ウトウトしてる気がするし〜……ぷぷ、夜遅くまで熱心に何をやってるのかなぁ。アタシに言えないようなことですか〜?」
――事実、最近は夜更かしが、徹夜が多くなっている。パピヨンの為の新しいトレーニングメニューを考えたり、今後のレースで戦うことになるだろう相手のレースを研究したり、その他大量の書類作業。それらを全てこなそうとすると自然とこのような生活になってしまった。
トレーナー寮にはここ一週間帰れていない、もっぱらソファで横になって仮眠をとるくらいで。それも最近はしていない。若いうちからこんな生活はよろしくないと分かっていても、担当ウマ娘を思うとこれでも足りないくらいだと【貴方】は思う。
パピヨン「お兄さんいけないんだ〜。眠い時は寝ないといけないし、疲れたときは休まないといけないんだよ?お兄さん、アタシには自己の管理が〜とか言っておいて、自分の事全然出来てないじゃーん」
ニヤニヤニマニマぷぷぷと笑われながら、眉間のところを人差し指でグリグリ通される。止めなさい、と一言言うと彼女はや〜ん怒った、なんて言いながらその人差し指を引っ込めた。
パピヨン「ほらほら、今日のミーティングは終わり終わり。お兄さんは寮に帰って、あったか〜いお風呂に入って体ポカポカにしてぐっすり寝な〜?」
お兄さんはもーっとアタシに尽くさないといけないんだから、寝不足で倒れられても困るんですけど〜?と、【貴方】を心配するような言葉。彼女は我が儘で自分大好きで周りを誤解させるような言葉を沢山言うが――こういうところは、とても優しい子なのだ。
『――ああ、そうだな。今日は久しぶりに戻ってぐっすり寝ることにするよ。パピヨンもごめんな、心配させてしまって』
パピヨン「んも〜、お兄さんったらアタシに言われないと睡眠も取れないの〜?ぷぷぷ、ほんっとダメダメだねお兄さん!これからはアタシが命令してあげないといけないかな〜?」
それじゃ、また明日お兄さん!アタシからの命令、ちゃんと守るんだよ〜?【貴方】に釘を刺すようにそう言い残して、、彼女は勢いよくトレーナー室から出て行った。まだミーティングの途中だったんだが……まあ、明日話せばいいか。
……さて。
『ちゃっちゃと終わらせるか』
…………まだ仕事は終わっていない。今ある仕事を終わらせて、彼女の命令通り早く眠ることにしよう。
パピヨン「…………」
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