599: ◆OX0aJKbZO.0H[saga]
2024/05/31(金) 20:03:56.33 ID:rPTWnsWS0
パピヨン(可愛いって言われた可愛いって言われた可愛いって言われた……!!!)
駆け足で【貴方】の元から離れるパピヨン。その頭の中には言われたその言葉が繰り返されていた。
魅力的だ、とかは言われたことがあっても――可愛い、なんてことは言われたことがなかった。
パピヨン(やば、やばい。顔、あつ、あっつい……!)
――パピヨンは自分が可愛い事をしっかり理解していた。だからある程度そういうことを言われていたし、言われる事にも慣れている、と思っていた。
しかし実際はこれである。真っ赤になった顔を見られたくなくて必死に【貴方】から逃げている女の子。嬉しくて尻尾が揺れてしまうのも抑えきれないくらい、気持ちが揺さぶられてしまう。
パピヨン「うっ、うぅうぅう〜〜〜……!!!」
どれもこれも――あれだ、お兄さんとライムのせいだ。ライムがあんな恋愛話とかしてくるから、シルフィーもマンティもあんな恥ずかしそうに好きな人とか……!いや!面白かったけど!けど!
身近のそういう話を聞いてしまったから……意識しちゃう!本当に良くない!全然お兄さんとか好きじゃないのに!ほんっと最悪!
あーイライラする!特にお兄さん!当然みたいにあんなこと言って、どうせ可愛いとか魅力的とか、他の女の子にも言って――。
パピヨン(……いや、それは嫌!お兄さんにはアタシだけ!アタシだけ可愛いとか言って欲しい!)
自分勝手すぎる独占欲。彼女は我が儘で、自分のトレーナーには自分だけを見ていてほしい。そう考えるのが当然だと思うウマ娘だ。
アタシ一筋、絶対浮気とか許さない――これが。彼女の求める好きな人の要素の一つ。だからそれを【貴方】に求めるのはごく普通の事。
パピヨン「……別に普通だよね、普通。好きとかじゃなくても、これくらい……おかしくないよね」
――結局そう言い聞かせてもなんだかモヤモヤが晴れず、砂浜を一人で走り始めるパピヨンだった。
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