422: ◆OX0aJKbZO.0H[saga]
2024/04/18(木) 23:51:14.73 ID:E2mbfavJ0
ヒシアマ「おいおいそこのアンタ!トレーナーはこの先立ち入り禁止――っとぉ?」
『すみません、この子をお願いしたいんですけど……』
美浦寮。そこは学園の向かいに存在する二つある寮のうちの一つ。そこの寮長であるヒシアマゾンに引き留められ、【貴方】は止まる。
まあ、もとより寮長を頼る予定だったので都合が良かった。と、【貴方】は暢気に考える。
『確かこの寮ですよね、シルヴァーパピヨンは』
ヒシアマ「……ははーん、なるほどね。事情は大体理解したよ」
彼女は【貴方】とパピヨンを見て、にやりと笑い。小さな声でそう言った。
ヒシアマ「それにしてもまあ、とんだお姫様だねぇパピヨンは。随分と幸せそうじゃないかい」
『……そうですかね』
トレーナー室から、その小さな身体をひょいっと持ち上げ、出来るだけ起こさないように運ぼうとした結果――【貴方】はお姫様抱っこでパピヨンを持ったまま、寮まで向かった。
持ち上げたときにあまりにも軽すぎて「軽っ!?」と声が出てしまうくらい、パピヨンは軽かった。まだまだ中学生の彼女なのだから、それも当然と言えば当然だが……なんだか心配になってしまう軽さだった。
この身体でよくあの速さを出せるものだ……もう少し食事に気を使った方が良いのかもしれない。
ヒシアマ「おおっと、ほらほら部屋に戻りな!それじゃ、パピヨンのトレーナーもお疲れさま、このお姫様は貰い受けるよ」
ざわざわと様子を見に来た寮のウマ娘たちが、ヒシアマゾンの一声で散っていく。【貴方】はお姫様抱っこですやすや眠っているパピヨンを、彼女に渡す。
『すみません、それじゃあよろしくお願いします』
――そして、【貴方】はトレーナー室に戻る。
机に置いていた、その包み袋を開ける。中には不揃いの形をしたウイスキーボンボン、触れてみるとなんだか妙にざらざらしていたり、ちょっと溶けかかっていたり……。
『……強いなぁ、アルコール』
そのウイスキーボンボンは、とても強い大人の味わいだった。
1002Res/560.61 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20