210: ◆OX0aJKbZO.0H
2024/03/13(水) 00:44:32.97 ID:wYnqF+O30
――2着との差はクビ差。残り数メートルでもあれば、シルヴァーパピヨンは抜かされていたギリギリの勝利。
パピヨン「はっ――ぁ、うっ。はぁ、はぁ……!」
汗がダラダラと零れる。あまりにも限界のため、前のメイクデビューの時のような煽りはパピヨンの口から出てこない。
【貴方】は急いで地下バ道に向かい、フラフラと倒れそうな彼女を迎えに行く。
『パピヨン……!』
パピヨン「ぁ……?は、お兄さん……なに、その顔。キモ……」
――どさっ。と、パピヨンが【貴方】に抱き着く。いや、倒れ掛かる。
パピヨン「あっ……ごめっ、ちがっ…………あー、いいや。全部使ったから、もう動けないやアタシ」
悪いけど、もう少しこうさせて……匂いとか嗅がないでよ。と、パピヨンが言う。
……【貴方】は、パピヨンを抱きしめる。
パピヨン「はっ?いや、ちょっとセクハラ……!はぁ、もう。最悪……最悪最悪、ぅ〜……はぁ」
『……良い走りだった。だから、今はしっかり休んで欲しい。お疲れさま、パピヨン』
彼女は、何も言わない。
ダートの砂まみれの尻尾が、ゆらりゆらりと小さく揺れた。
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