剣聖が鍛冶屋を営むようです
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49:名無しNIPPER[saga]
2024/02/26(月) 01:13:55.21 ID:q7oGoN45O
誰も一人では生きられない、とは誰の言葉だったか。ふと、そんな言葉を思い出した。
一人でいることには慣れている。六年前に家族を喪い、故郷を燃え尽きた廃墟にされた時から、自分はずっと一人だ。
冒険者として働く中でパーティーを組むこともあれば、依頼人と親睦を深めることもあったので、繋がりは多少なりともある。
しかし、それはあくまでビジネスの関係だ。少なくともステラはそう認識している。

友人と言える者もいる。だが、彼らもまた冒険者。好きに生き、理不尽に死ぬ者。
骸を晒した者もいるし、行方の知れぬ者もいる。どこで何をしているのか。把握できているものは片手で数えるほどしかいない。

為すべきを為し、少し落ち着いたからなのだろうか。それとも、長い時間を掛け、ようやく気持ちの整理がついたのか。
気にならなかったはずの感覚が、今になって引っかかるようになった。

思考の沼に嵌まり込みペンが止まる。この調子では、外郭区の掲示板に貼るチラシ作りは捗りそうにない。
時計に視線を向けると、思いの外時間が経っていることに気づく。身体の疲れもそうだが、精神的な疲労も感じられた。
馬車に揺られ。ドラゴンを仕留め。新天地での物件探し。色々な神経を使ったのだろう。

今日は無理せず明日に備えることにしたステラは、食事をするために家を出る。遠くで雷の落ちる音が聞こえた。


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