クラスの変わり者が揉め事を起こして始まる一次創作
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18:名無しNIPPER[sage saga]
2023/11/10(金) 03:53:25.08 ID:J4m7k5JcO
「田中、なんでひとりで帰んの?」
「有栖川……」

放課後。靴を履こうとしていたら、昇降口で有栖川に見つかってしまったので説明する。

「なんか噂になってるみたいだからさ」
「噂って、昼休みの話?」
「うん。僕らが付き合ってるって噂」

僕は変わり者の自覚がある。有栖川は無自覚だろうけど変わり者である。そんな僕らが余計なことをするとめちゃくちゃ目立つのだ。
というか、ぶっちゃけここまで早い段階で噂が広まるとは思ってなかった。もっとゆっくりと浸透する筈が完全に予想を上回ってる。

「暫くは距離をおいたほうが良いかなって」

今日だってお弁当を囲む僕たちは相当目立っていた。つい先日喧嘩した山田とその子分の佐竹。僕と有栖川。それぞれ別々に行動している分には目立たないが、集まると目立つ。
こんな筈ではなかったのだが、こうなってしまっては致し方ない。それにこれは他ならぬ有栖川のためでもあった。

「有栖川もまた停学にでもなったら大変でしょ? 僕のせいで何か問題に巻き込まれたりしたら申し訳ないし」

有栖川は入学早々に先輩に絡まれた件で暴れた際、停学となっており、前科一犯である。
なのでやはり距離を取るべきだと思うけど。

「ん。あんたの言い分はわかった。それで、あたしはこれからどうやって田中と接すればいい?」
「いや、だから距離を……」
「教室では話さず、帰りも別々で、休みの日も会わなければいいの?」
「うん……しばらくはそうしたほうが……」
「そんなの嫌だ」

漢らしい台詞とは裏腹に、有栖川は涙声で。

「せっかく仲良くなれたのにそれは寂しい」

僕はこの日、有栖川も泣くんだと学習した。


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