日向「安価とコンマで依頼を解決する」ソニア「その3です!!」
1- 20
21: ◆DWp3lSnh.v3L[saga]
2023/10/05(木) 21:39:48.01 ID:uKqEVWeV0
日向「……西園寺」

俺はそれから更に数分間、西園寺が落ち着くのを待った。暫く経ってようやく落ち着いたのか、泣きじゃくりが止まった辺りで俺は話しかける。


西園寺「ひっく……。日向おにぃ……」

日向「……今のあいつには、左右田の眼には、お前の事しか見えていない。少なくともそれだけは、俺が保証するよ」

西園寺「…………」

日向「お前だって知ってるだろ? 前に言ってたじゃないか。弐大に頼み込んで身体を積極的に鍛えて貰ってるし、勉強も今までと比べてより熱が入ってるって」

俺だってよーく知ってる。だってあのクソ熱い砂浜を、九頭龍と一緒にタイヤ引きさせられたからな。今のあいつが「何を悩んでいるか」も「どうしてここまで頑張っているのか」もちゃんと知ってる。(あとついでに惚気られたし)


日向「全部お前の為にやってるんだぞ? お前はそんなあいつを信じられないっていうのか?」

西園寺「…………」

西園寺は何も喋らない。ただ下を向いて俯いているだけだ。


日向「……そんなに不安だってんならもっと積極的にアタックしろ。デートに行け。キスは……まだ恋人になる前だから早いかもしれないが「手を繋いで一緒に歩きたい」ぐらいなら……「だもん」──え?」

ここで西園寺から出た言葉に俺は一瞬焦ったし、心がぐらついた。


西園寺「わ、私、小泉おねぇだってお兄のことが好きだったの、ちゃんと知ってるもん……!」

日向「……!!?」

西園寺「お、おねぇをデートに誘ってたお兄から……小泉お姉からお兄を「略奪愛」しちゃったの、私だもん……!!」

……そうか、西園寺はちゃんと気づいてたのか。小泉も左右田の事を──。俺は霧切からその情報を聞くまで気がつきもしなかったってのに。


日向「…………」

西園寺「……あの時のデートに私が割り込まなかったら、きっとお兄とお姉は幸せでお似合いなカップルになってたよ。私なんかより、ずっと……。だから──」

日向「──西園寺」



そ れ は 違 う ぞ ! !



西園寺「!!?」

日向「思い出せ。あの時の左右田は、まだ誰の事も好きじゃなかった。ソニアに振られた直後だったしな。傷心状態って奴だ」

西園寺「…………」

日向「誰でも良いから女の子とデートがしたい、癒やされたい……。そんな精神状態だったあいつに、真っ先にアタックを仕掛けに行ったのはお前だろ! 小泉とのデートに割り込んだ? それの何が悪いってんだ。お前の目にはあの時の左右田が、小泉を愛してるように見えたのか? そうじゃないって思ったから、チャンスだとみて割り込みに行ったんじゃないのか?」

夜長の言っていた事とは違うが「恋は何でもありの戦争」だ。小泉と左右田の仲が進展しないよう、自分の事を見てくれるようになるよう、その邪魔をしに行って何が悪いっていうんだ。


西園寺「……でも」

日向「……小泉にだって、ちゃんとチャンスはあった。……最後の最後にお前にその機会を譲ったのは、お前への同情でも優しさでもなく、もっと別の「何か」だった筈だ」

じゃなきゃあんな絶好のチャンスを逃す物か。例え西園寺が目の前にいたって、羞恥心を抑えれば告白する事は出来ただろうに。


日向「例え経過がどんな物だろうが、例え左右田の事を好きな奴が他にいようが、あいつが好きになったのはお前だ。お前が勇気を振り絞って告白したから……自分の想いを精一杯伝えたからだ」

西園寺「…………」

日向「……だから、そんな自分を卑下するな。あいつと両思いに慣れた事を怖がるな。……お前はあいつを「信じて待ってる」んだろ?」

俺がそう言ってから数分後。西園寺はゴシゴシと服の袖で涙を拭き取り


西園寺「……ふん。日向お兄の癖に生意気だよ」

と、俺を詰った。……やれやれ。どうやらいつもの西園寺に戻ったみたいだ。


西園寺「……私、信じるよ。お兄が今よりずっと、もっともっと格好良くなって、私の所に告白に来てくれるって!」

日向「……ああ」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/523.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice