日向「安価とコンマで依頼を解決する」七海「その2だって」
1- 20
734: ◆DWp3lSnh.v3L[saga]
2023/09/28(木) 23:47:40.99 ID:anMNCOuZ0


……あーあ。これは二人が用意してくれた遊びで、今までのはただの茶番で、心配する事なんて何にもないって分かっているのに──


日向「……なーんで「見捨てる」って選択肢が端から無いんだろうなぁ!!」

俺は鎖で雁字搦めに縛られたソニア・・シャルロット・ディオールを抱き抱えると、大急ぎで手術室を飛び出す。鎖の分、以前ソニアを抱きかかえた時よりは重く感じたが、それでも「軽い身体だなぁ」と心の奥底で思った。


ソニア・シャルロット・ディオール「──え、えええっ!? あ、あの勇者様、何を……!?」

日向「勇者として、お姫様を助け出すって当然の行動をするだけだ! 終里、殿を頼む!!」

終里「お、おう? 何だか分からねぇが任せとけ!!」

こうして俺達は、田中・ビンセント・パイクに支配された戦慄迷宮を脱出する事に成功した。……予定外の流れになってしまって相当恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしたソニアのおまけ付きで。


〜〜戦慄迷宮・外〜〜


ソニア・シャルロット・ディオール「ああ……勇者様、なんということを……。これでは黄泉の門が……」

戦慄迷宮を脱出した後、地面に下ろして鎖を解いたソニアが、悲しむような声で俺を責める。……え、この茶番まだ続くのか? 俺が流石にそうツッこもうとした時だった。


???「ふはははははははは! その心配はないぞ、特異点よ!!」

先ほどまでも聞いていた、奴の高笑いが耳に入ってくる。……またか、今度はなんだっていうんだ。


日向「……今更何しに来たんだよ「田中」」

田中「なに、この迷宮から黄泉の門が開く気配を感じてな……。非常事態とみて駆けつけたまでよ」」

先ほどとは違い、いつもの衣服に身を包んだ田中が、悠々と現われる。まるで先ほどの茶番など無かったかのように振る舞っているが、よくその場のアドリブで話を合わせられるなこいつ。


ソニア・シャルロット・ディオール「あ、貴方は我が祖国に伝わる伝説の氷の覇王様では!?」

田中「そう! 我こそは何れこの世の全てを統べる氷の覇王、田中眼蛇夢なり!!」

何かソニアまで便乗し始めたし……。こっちはもう良い加減疲れてきてるんだが……何でも良いから早く休ませてくれないかなぁ……。


田中「安心しろ、特異点よ。不死の王に支配されたこの迷宮で開いてしまった黄泉の門は、この俺様が責任を持って封じよう。なに、俺ならば訳はない。ついでに連れ去られてきた異国の姫君も、元の国に送り返しておこう」

日向「……そうか、それは助かるよ」

田中はそう言うと、戦慄迷宮の入り口に向かって歩き始める。ソニアはそれを追おうとし──俺の方を振り返った。


ソニア・シャルロット・ディオール「勇者様……。私、勇者様が世界よりも私を選んでくれたこと、助けてくれたこと、一生忘れません!! 本当にありがとうございました!!」

そう告げて、今度こそ田中を追って再び戦慄迷宮の方に入っていくソニア。……きっと数十分後には何食わぬ顔で「あら、みなさんどこにいってらっしゃったんですか?」とかなんとか言いながら、何食わぬ顔でどこかから俺達の知っている「ソニア・ネヴァーマインド」が出てくるに違いない。


終里が「なぁ、結局これって何だったんだ?」

と当然の様に聞いてくる。その意見には大いに同意したい所だが……。


日向「……さぁな。でもまぁ、後味は悪くなかったんじゃないか。俺なりに頑張ったとは思うよ」

──だって、ソニアの満面の笑みを、久しぶりに見られたのだから。



本日はここまで。まさか夏休み1日にここまで時間を使う事になるとは思わなかった……!! ではまた明日。夜9時頃にお会いしましょう。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/526.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice