日向「安価とコンマで依頼を解決する」七海「その2だって」
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647: ◆DWp3lSnh.v3L[saga]
2023/09/26(火) 09:56:59.89 ID:vgyi98Ic0


キャラシナリオ 左右田和一 ──嘗ての恋と、今の恋──


左右田「なぁ日向、今ちょっと良いか?」

弐大がやってくれている特訓の昼休憩中、海の家で焼きそばを食い終わった俺に、左右田が話しかけてきた。「何だ?」と声を返すと、どうやら二人っきりで話したい事があるらしい。
左右田曰く『相談』の延長線とやららしいのだが……。兎に角、俺は左右田の後に続いて行き、適当な堤防の上に腰掛ける。


左右田「ふぅ……。いやー、今日もあっちいなぁ……」

日向「ああ。弐大じゃないが、熱中症には十分注意しないとな」

俺は弐大から受け取ったドリンクをゴクゴクと口に運びつつ、左右田の言葉の続きを待つ。その様は「言葉に迷っている」と言うより「言うのを躊躇っている」様に感じた。


左右田「あー……。前に相談した時のこと覚えてるか? 俺が「誰でも良いから可愛い女の子とデートがしたい」ってバカみたいな依頼をした時の事だよ」

左右田は不安そうに言うが、当然忘れるわけがない。なにせあれが俺の──『超高校級の相談窓口』としての初仕事だったんだから。


左右田「お前と七海に見守って貰いながら、小泉と西園寺と……その、デートって奴をしてさ。ふれあい広場で動物と戯れて、花村特製の綺麗なゼリーを喰って、室内レジャープールで思いっきり遊んで、夢野のマジックショーを見て……。んで、デートの最後に西園寺に告白されてさ」

日向「ああ、そうだった……。らしいな」

左右田は懐かしむように目を細めるが、まだその「デート」から数ヶ月と経っていない。しかし左右田の中ではもう随分と昔の事のように感じているらしかった。


左右田「……そん時は内心メッチャ動揺してたんだけど……スゲー嬉しかったんだ。それまで西園寺の事なんて、小生意気なクソガキ……だったのは、一年前か。兎に角生意気で、可愛くて綺麗なのに可愛げのない精神年齢小学生野郎──位にしか見てなかったのにさ。告られた瞬間こう、心臓がドキンと高鳴ってさ」

左右田はただ淡々と言葉を紡いでゆく。自分の中からあふれ出そうとする言葉を噛み砕き、分かりやすいようにして俺へと伝えてくる。


左右田「……自分の中で整理を付けるために「今度こそ」失敗しないために「俺が強くなるまで待っててくれ」なんてふざけた事言って返事を保留にしちまったんだけどよ。告られた日からもうこう……アイツの事がスゲー気になるッつーか、か、可愛く見えて仕方ねぇっつーか……」

……あ、これもしかして惚気られる流れか? だったら俺は暫くの間相槌マシーンになってやる気満々だぞこの野郎。


左右田「授業中に眼が合った時なんて「ふふっ」って嬉しそうに微笑んでくるし、食堂じゃあ近くの席に陣取る事が多くなったし、なんだかんだ理由を付けて、ふ、二人っきりで買い物に出かける事になった時とかにこう、キュッって感じで俺の服の裾を掴んで上目遣いしてきたりさ……」

日向「ソッカー」

左右田「その度に、胸はドキドキ高鳴るし、心臓はバクバクウルセーし……。楽しい、嬉しい、って気持ちで心の中がいっぱいになるんだけどさ」

日向「ウンウン」



左右田「……その度に思い出すんだよ。ソニアさんの事を」

日向「…………」

一気に陰鬱な表情になった左右田を見て、俺はマシーンから一人の人間に戻った。どうやら「相談」はここからが本番らしい。




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