日向「安価とコンマで依頼を解決する」七海「その2だって」
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544: ◆DWp3lSnh.v3L[saga]
2023/09/24(日) 20:02:13.91 ID:Pef+dggg0
>>542 言いたい事は分かりますが、時期的にちょっと無理があるので少し改変します。


俺は「スーッ」と息を呑むと、次に「ハァーッ」と息を吐いて深く深呼吸した。
選べ、入間が傷つかないであろう言葉を。導け、どうすれば彼女を安心させられるかを──!!


日向「──心配いらないさ」

考えに考えた俺の口からは、自然とそんな言葉が出ていた。


日向「なぁみんな。希望ヶ峰学園は「幸運」の才能を除いて、その才能で一定の実績を示し続ける必要あるのは知ってるよな?」

転子「そりゃあまぁ……」

白銀「私でも知ってますけど……(あれ? 改めて考えるとコスプレの実績ってなんだろ? SNSのいいね! やフォロワー数とか?)」

俺の言いたい事があまり良く分からないと言いたげな皆に、俺は言葉を噛み砕きつつ丁寧に説明していく。


日向「そう考えた場合、入間は今期の生徒の中じゃダントツだ。入間の発明品を希望ヶ峰学園が外の会社と契約して世間に売り出して、もの凄い利益が出てるんだから」

春川「……要は金蔓筆頭の入間を退学なんかにはしないだろうってこと? それはちょっと甘いんじゃない? アンタは知らないかもしれないけどこいつが起こしてきた問題、数も質も倫理的に許される範囲を超えてるよ。幾ら希望ヶ峰学園でも──」

日向「……かもな。けど、やっぱり大丈夫な気がしてるんだ」

春川「……根拠は?」

日向「……俺が本科の生徒に救われた事があるから、かな」

ズバズバと容赦無く切り込んでくる春川に、俺は冷静に対処し続ける。


日向「俺、元々予備学科でさ。自分にこういう才能が眠ってるって事も気づかずに、予備学科生としてこう……言い方は恥ずかしいけど、腐った日々を送ってたんだ。「どんな手を使ってでも「才能」って奴が欲しい」──そんな馬鹿な事を考えて、脳外科医の手術を受ける事まで真剣に考えてた位に」

赤松「日向先輩……」

日向「でもさ、今の78期生……苗木達が入学してきて、七海とも定期的に出会うようになってから、少しずつ環境が変わってきたんだ」

夢野「んあー。環境が変わった?」

日向「ああ。あいつら、予備学科生の実態を知るやいなや学園長に直談判して抗議デモを起こしたり、自分達の才能で得た資金を予備学科の授業や転入試験の資金として使ってくれって……そんな運動を始めてくれたんだよ。勿論、77期生の皆も一緒にな」

あの時は何が起こっているかも分からず、なんで皆がそんな事をしてくれるのかも理解出来ずに、俺はただ皆の輝きを間近で見ている事しか出来なかったっけ。そんな苦い経験を思い出しつつ、俺は話を進める。


日向「そうして色々と余裕が出来た結果「こんな才能がある」って事が発覚して、俺は本課に転入できたんだ。俺が今ここにいるのは、自分の力や努力、才能の有る無しなんかじゃない。……みんなが見ず知らずの他人の事を想って、一生懸命頑張ってくれた結果なんだよ」

夜長「んー、とっても良い話だねー! 実に神ってるよー!!」

東条「……それは分かったけど、何故それが入間さんが退学にならない──という話しに繋がるの?」

日向「簡単な話さ。なぁ入間」

入間「な、なんだよ……」

日向「お前、自分に入って来る発明品の権利や金。予備学科の方に回してくれてるんだってな」

驚いたような表情で、79期生の女子達が固まった。


入間「な、んな……!!」

なんで知って──と言いたげな入間を余所に、俺は話を続ける。……超高校級の相談窓口を舐めて貰っちゃ困る。この依頼を受ける際に俺は「入間美兎」という人間について、探偵である霧切や、国にすらコネを持つソニアに頼み込んで「一体学園の外ではどんな事をしているのか」を事前に調べていたのだ。


日向「それだけじゃない。恵まれない子供達に積極的に資金を送ったり、研究したくても出来ない貧乏大学にレポートや発明品を貸し出したり……。「使い道がねぇから」って理由で、色んなチャリティー活動をしてくれてるらしいじゃないか」

入間「そ、それはその……! こ、この天才発明家である入間美兎様のホンの気まぐれというか、頼み込まれたのがウザかったから了承してやっただけというか……」

入間は人差し指同士をくっつけて、クネクネと恥ずかしそうに身体をよじった。……やっぱりそうだ。入間美兎という女の子は確かに口が悪くて下ネタ好きで、怖がりで自分以外の人間を見下していて、定期的に大問題を起こすようなヤバイ奴なのかもしれない。──けど


日向「……そんな優しくて学園の易になるような活動をしてる女の子を、希望ヶ峰学園は見捨てないよ。なにせ、俺をワザワザ予備学科から引っ張ってくるお人好しが何人もいる──そんな学校なんだからさ」


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