日向「安価とコンマで依頼を解決する」七海「その2だって」
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◆DWp3lSnh.v3L
[saga]
2023/09/24(日) 08:56:09.26 ID:Pef+dggg0
──色々と残念な娘。
──確かに天才だが、プライドが高すぎる。
──世間を舐めてる雌ガキ。
──不潔で下品で、節操の無い娘。
……そんな価値の無い、世間や周りの評価など、俺様には気にもならなかった。……低脳な凡人共が何を言おうが知ったことか。俺様は俺様の決めた道を、自分の意思で自由に歩くんだ!!
だから服装も、学園側に何を言われようがセクシーな物ばかりを選んだ。……俺様の美貌を周囲に見せつけるためだ。問題──とやらを俺様が起こしても、何度でもそれを繰返(失敗)し続けた。いつか目指した「目標」を達成する為だ。
言葉もあえて下品な物ばかりを選び、使い続けた。……俺様と凡人共の格の違いを、シッカリと教えてやるためだ。……それは、いつしか自分でも癖になって、意識しても治らなくなってしまったけど、後悔はしていない。
──だから
「君ってホント雌豚みたいだよねー。あ、みたいじゃなくて実際そうなのか。自分に嘘を付いて、傷ついてないフリをして、周囲に売りたくも無い媚びを売りまくってる低脳な人間なんだから」
出会い頭──本当に始めて会話する時に、そんな言葉を直球でぶつけてきたのは「アイツ」が初めてだったんだ。当然、すぐさま罵り合いになった。……なったのだが、相手の語彙力と頭の回転が俺様の想像を遙かに超えていて、いつしか俺様は子供みたいなアイツに、それこそ子供のように泣きじゃくらされていた。
……その時の感覚が、ある種の開放感と悦楽が身体の奥底に染みこんで、染みこんで……。それが「快感」って奴に変わったと分かったのは、それからすぐのことだった。「ああ、俺様ってこんな性癖(ドM)があったんだ」と心と頭で理解したのもその時だ。
……「そんな自分(ドM)」を表に出すのにも、アイツと関わっていく内に次第に抵抗がなくなった。最初の頃は、ドMだって事自体を否定するような事を言っていた気がするが、アイツが俺様を罵る度に、その無駄な抵抗は薄まっていった……。
──その口汚い悪口が「王馬なりの忠告だ」「王馬なりの優しさだ」と、天才な俺様は心の奥底で理解していても、自分を曲げようとはしなかった。……だって、それを切っ掛けにもし変われば……。俺様という人間が「アイツにとって興味のないツマラナイ奴」になってしまったら──
──今まで築いてきたこの奇妙な関係が、壊れてしまうんじゃないかって……怖かったんだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ヒックヒックと、まるで幼稚園児の様に泣きじゃくる入間を前に、俺と79期生(女子)のメンバーは半ば呆然としていた。
特に、俺、赤松、春川、夢野の動揺は凄かったと思う。「入間にその恋心を自覚させる」のが今回の女子会の真の目的であって、それは大成功したと言えるのだが、まさかあの入間がここまで豹変するとは思ってもいなかったのだ。
赤松「い、入間さん……」
夢野「入間、お主……」
入間「お、お願いだよぉ……! 私からアイツを……小吉を盗らないでぇ……!!」
今の入間は近づいてきた夢野のスカートに縋り付いて、物乞いの様な恰好で懇願する。その姿があまりにも痛々しくて、超高校級の相談窓口である俺も、ここからどうしたら良いか全く分からずに──
春川「──はいはい、入間も皆も一旦落ち着く」
そこで意外(失礼だと後から思った)にもパンパンと手を叩いて皆の注目を集めたのは、超高校級の保育士である春川だった。
春川「東条、何か落ち着くような甘い物……ホットミルクかなんかで良いから作って来て。それから、気持ちは分かるけど皆一旦それぞれの席に戻る。……入間の話しを詳しく聞くにしても、このままじゃ話すに話せないでしょ」
東条「……ええ。すぐに用意するわ」
転子「りょ、了解しました……」
アンジー「……主は言いました「地雷は予期せぬ所に埋まっている物だ」と──」
白銀「な、なんだか地味に大変な事になってきたね……。女子会が一気に保護者会や説明会見になった気分だよ……」
春川「……ほら、あんたもいつまでも夢野のスカートを握ってないで自分の席に着く。……大丈夫だよ、今ここにはアンタを責めたり虐めたりするような奴は誰もいないから」
春川が、それこそ幼稚園児を諭すような目線で入間を見て、その髪を優しく撫でる。入間は暫くの間動かなかったが、やがて夢野のスカートから手を離して自分の席に座った。
〜〜それから数分後〜〜
入間が東条の作って来たホットミルクを啜る音が教室に響く。……他に音は聞えない。誰も、何も喋れない。ほぼ全員が頭を下げ、誰かがこの神妙な空気をぶち壊してくれるのを待っていた。
春川「……で? 入間。何か皆に言いたいことや、説明したいことはある?」
その空気をぶち壊したのは、事態を一旦落ち着かせた春川だった。その言葉に入間の肩がビクンと震え、オドオドと周囲の様子を伺う。
春川「言いたいことが無いなら、もうこの話しは……今回の女子会はお開きにする。アンタの言動も、誰も、何も見なかった事にする、聞かなかった事にする。……ただ、もし何か皆に言いたいことが……。日向に相談したいことがあるのなら、この場で言った方が良いよ。……大丈夫。さっきも言ったとおり、こにはアンタを責めたり虐めたりするような奴は、誰もいないから」
春川にそんな事を言われた入間は、数秒の間を置いて、ぽつりぽつりと自分の過去とその心境を、俺達に話し始めた。
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