975: ◆15vHdNAAAEr/[sage saga]
2023/11/13(月) 01:36:04.58 ID:7yOM5Tlto
町はずれの森
ザッザッ
桜野「……ん? なにあれ……」
桜野「空間に……裂け目? あれか……」ザッ
桜野「……」
桜野(わたしはなんのために、この瞬間を生きているのだろう)
桜野(答えは明白。シキやみんなの願いを叶えるためだ)
桜野(そのためだけに生きている。もしシキに出会っていなければ、わたしはとっくに死んでいる)
桜野(だったらやることはひとつだ。それがわたしの存在理由)
桜野(それにわたしにはもう時間が無い)
桜野(叔母さんに反抗したことで、ただでさえ短いわたしの寿命はさらに縮まった)
桜野(あれ以来、暴力がさらに酷くなった。わたしがまだ生きているのは、無抵抗にぶたれ続けているからだろう)
桜野(多分、あと一回だ。あと一回でもシキが叔母さんの視界に入れば、その時はいよいよ殺されてしまう)
桜野(いやもしかしたら、わたしが話しかけるだけで、目が合うだけで、ほんの些細なきっかけでそれは起こるかもしれない。だからもう、あの家には戻れない)
桜野(そもそもこのお泊まりだって無断外泊だ。ただじゃすまないのは間違いない。今この瞬間も、わたしのことを血眼で探しているかもしれない)
桜野(でも透ちゃんの誘いに頷いた時点で覚悟はできている)
桜野(どうせ死ぬんだ。それならせめて約束だけは果たしたい。誰の役にも立てずに死ぬくらいなら、せめて世界くらいは救いたい)
桜野(きっとこの先には敵が待ち構えている)
桜野(罠なのは間違いない。苦しい戦いになるだろう。もしかしたら約束を果たせず殺されてしまうかもしれない。一寸先は闇だ)
桜野(それでも、もしそうだったとしても、振り返ればそこにある帰り道に比べれば、ずっと明るく輝いて見える)
桜野(この道程はわたしにとって)
桜野「……」ザッ
桜野(希望そのものだ)
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