940: ◆15vHdNAAAEr/[sage saga]
2023/11/10(金) 00:27:10.52 ID:N3BJJsRVo
町はずれの森
桜野「……っ」ザッザッ
桜野(叔母さんたちに引き取られてすぐの頃のわたしは、自分がなぜ生きているのか分からずにいた)
桜野(目が覚めるたび、ここは天国かな地獄かなって考えた。どれだけ考えても答えは出なかった)
桜野(生きていることと死んでいること、どちらが天国でどちらが地獄か分からなかった)
桜野(分からないままにわたしは生きた。図々しくも生き続けた)
桜野(どうしても生きていたかったわけじゃない。死にたいと思ったことは何度もある)
桜野(今日も思った。昨日も思った。きっと明日も思うだろう。そんな毎日だった)
桜野(でもわたしは、生と死の境界に立ちながら自分の足元すらままならないわたしには、どちらに転べば死ねるかなんて分かりようもなかった)
桜野(逃げ出すこともできず、踏み切ることもできず、醜く生き続けるしかなかった)
桜野(生きる意味も、生きてる価値も、存在理由すらない)
桜野(ママもいない。パパもいない。からっぽ。わたしはなんのために生きているんだろう)
桜野(ずっと答えを探していた。あの子に出会ったのはそんな時だった)
桜野(まいごのおんなのこ。あの日のコスモスに)
1002Res/513.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20