913: ◆15vHdNAAAEr/[sage saga]
2023/11/01(水) 23:58:50.64 ID:REWyui95o
桜野(あの日はたまたまそういう日だった。帰った途端、叔母さんに突き飛ばされた)
桜野(咳き込んでいるところ髪を掴まれ引っ張り上げられて、そのまま何度もおなかを蹴られた)
桜野(迂闊だった。もっと気をつけなければいけなかった。考えるにはもう遅かった。あっという間に意識が飛んだ)
桜野(そして気がついた時、ぼやける視界の先で、叔母さんがスクールバッグをひっくり返していた)
桜野(中身が床に散乱した。教科書、筆記用具、ぺちゃんこのお財布、半分に欠けた飴玉……)
桜野(叔母さんはその中から、ふたつのぬいぐるみを鷲掴みにした)
桜野(ひとつは前に透ちゃんがUFOキャッチャーでとってくれたもの。そしてもうひとつは、シキだった)
桜野(シキにはあらかじめ、見つかってしまったらぬいぐるみのフリをするように言っておいた。そうすれば大丈夫だからと。シキはわたしの言った通りにした)
桜野(叔母さんはぬいぐるみをわたしに突きつけ、どこで盗んできたと怒鳴った。答えなんて何でも良かったんだと思う。ストレス発散ができればそれで)
桜野(わたしはひたすらごめんなさいだけを続けた。下手に言い訳するよりただ謝り続けた方がいいことは、これまでの経験でわかっていた)
桜野(どうにかしてシキを離してもらわなきゃいけない。なんとかチャンスを作ろうと必死だった)
桜野(でもあの日の叔母さんは、本当に機嫌が悪かった)
桜野(叔母さんはハサミを持ち出してきて、透ちゃんがくれたぬいぐるみに刃先を向けた)
桜野(あちこちから綿が飛び出た。腕も足も、目玉も千切れた)
桜野(あの日からずっと肌身離さず持っていたもの。大切にするって透ちゃんに約束したもの。わたしの宝物)
桜野(それはあまりにもあっけなく、無惨な姿に成り果てた)
桜野(次はシキの番だった)
桜野(わたしはその日、人生で初めて、叔母さんに反抗した)
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