895: ◆15vHdNAAAEr/[sage saga]
2023/10/30(月) 23:56:18.40 ID:2/GKEhvRo
桜野(当たり前だけど、わたしの分の食事が用意されることなんてなかった。だからわたしはいつも腹ぺこだ)
桜野(かといってなにか勝手につまみ食いしようものなら、せっかく薄くなって痛みが引いてきた痣がまた新しくなってしまう)
桜野(わたしはおなかが空かないように、できる限り動かずじっと耐えた)
桜野(それでもやがて限界はやってきて、意識が朦朧としてくる。平衡感覚が無くなって、気づいた時には床に倒れていたなんてことも珍しくなかった)
桜野(時おり叔母さんたちの気まぐれで目の前に残飯がぶちまけられる。手を使わずに食べろと言われた。言われたとおりにした)
桜野(叔母さんたちの機嫌を損ねるとせっかくの食べ物を吐き出すことになってしまうから、汁の一滴すら残さないように丁寧に床を舐めた。叔母さんたちは、そんなわたしの後頭部を踏んづけてゲラゲラ笑った)
桜野(口の中でぐちゃぐちゃの食べ物と床の苦さが混ざって酷い味だった。噛むたびに小さな砂粒が歯をこすった。機嫌を損ねずとも結局蹴られた)
桜野(それでも、なにも食べられないよりはマシだった)
桜野(どうしてこんなことをするんだろう。その答えは聞かずとも教えてくれた)
桜野(わたしが痛みに悶えたり、苦しそうに咳き込んだり嘔吐いたり、空っぽのおなかから胃液を吐き戻す姿が痛快なんだという)
桜野(じゃあしょうがないやって思った)
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