200: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/09/27(水) 23:20:54.25 ID:6i2hW+Ne0
「海洋調査用の“ブイ”を用いた、波浪・潮流情報による索敵。
レーダーに映らず直接ロックオンできないという深海棲艦の特性に世界各国は苦闘を強いられ、そして何とかその特性を覆そうと躍起になっていた。アメリカも、ドイツも、中国も、ロシアも、イギリスも、列強は総力を上げて艦上・航空レーダーの性能向上に邁進している。
………つい先日までは、我が国の防衛省もその一つだった」
「そんな中で、ただ“位置情報”さえ掴めればいい、という発想に至るとは。アレほど、目から鱗が落ちるという感覚を正確に味わったのは初めてです」
「私もだ。
対艦兵装は確かに対象物を直接ロックオンせずとも座標指定による攻撃を可能とする物が多い。レーダーに対する厄介な耐性も、直接捉えるのではなく周辺事象を把握できれば事実上無力化できる。
そして、仮に連中が“ブイ”からの信号すら遮断することができていたとしても………」
「………今度は、信号が消えたことそれ自体が連中の位置への道標となる。単純なようで、リスクヘッジまでしっかり考えられた盤石の策です」
「航空隊も同時に出撃させれば、万一“ブイ”を用いた作戦が何らかの形で無力化されても最悪従来の弾着観測射撃に持ち込める。
またもし作戦が成功したなら、艦隊火力と航空爆撃で交互に足止めをしながらアウトレンジ戦法で従来のものより遥かに高い安全性を担保しながら攻撃することができる。
何せハープーンやVLSが“先手”になるんだ、連中の足が止まるほどに大規模な爆撃隊を、針山よろしく四方八方に対空砲火を伸ばす“艦隊”へ突っ込ませる必要が一気に薄くなる」
「深海棲艦発見から、交戦前にたった一手間を加えただけ。だがその一手間で、何十手も先まで深海棲艦の行動を制限し、此方の土俵へと持ち込んでいる。
恐ろしい策だと言わざるを得ませんが…………何よりも、これを思いついた隊員の存在が“末恐ろしい”」
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