【悲報】夢魔の集落に男一人で流れ着いてしまった【たすけて】【安価スレ】
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42:名無しNIPPER[saga]
2023/07/16(日) 22:56:56.89 ID:EdCCyPU/O
おはよー!朝だよー!起きろゴラァァァ!!!と言わんばかりに爛々と照りつける太陽。
その眩しさといったら生半可なものではなく、アンデッドの類が白日の元に晒された日には10秒も保たずに昇天してしまうだろう。
永い時を経て遂に日光に適応した吸血鬼さえもURYYYと叫びながら塵と化しそうだ。

純度100%の人間である青年でさえも、家から出たのを早くも後悔し始めた。魔族である夢魔たちの惨状に至っては語るまでもない。

「まぶじい…じぬぅ…」

滝汗を流し同行するラブが必死に搾り出した言葉がこれだ。もはやマトモな受け答えは不可能と言える。
村長と話をしようと家を出た時に道案内を彼女が買って出たのだが、開始数秒でこの有様だ。これでは道案内以前の問題である。

「日傘があれば話は別なんだがな。持っていないのか?」

うぼぁーと魂の抜けていくような呻きを上げるラブは、小さく首を横に振った。
快晴と言うには些か度がすぎているとはいえ日が出ているだけでこの惨状だというのに、何も対策をしていないのは不用心にも程がある。
そんな疑問を抱いていた青年だが、すぐにその疑問は氷解した。

黒い煙が集落の周囲から立ち上り、集落全体を取り囲む。
夜の帳が降りたように、夢魔の集落は闇に包まれた。同時に、各地に設置されているランタンに火がともった。

「やっと起きたぁ。あと少しで死ぬかと思ったよー…」

突然起きた天変地異に住民たちは戸惑うことなく安堵の息を漏らし、店の営業や作業を開始する。
リリスの仕業かと青年が問うと、ラブは大きく頷いた。

「村長様が起きてる間は、なんか凄い魔法を使って擬似的に夜を作ってるらしいです。雨とか曇りとかの日の光が弱い天候なら放置されてるんですけどね」

空間への干渉とはさらっととんでもないことをしてのけるものだ。
相当に鍛錬を積んだ賢者でもなければ成し得ない芸当だというのに。

「まーリリスですからねー。私たちサキュバス如きとは格が違いますよ格が」

夢魔族の王。夜を統べる者と呼ばれるだけはある。
そして、そんなリリスが二人もいるこの集落はやはりおかしい。世界のパワーバランスはもうめちゃくちゃだ。
青年は心の底からそう思った。


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