1:名無しNIPPER
2023/05/21(日) 23:05:30.93 ID:KwuJkw0kO
「やあ、キョン」
5月末。あっという間に春が過ぎ去りまもなく梅雨入りしそうな曇天を背負って昔馴染みが顔を見せた。中学の同級生である佐々木。
「おや、傘を持ってないのかい?」
学生鞄しか持たない俺を見て、佐々木は意外そうにそう訊ねた。今日の降水確率は90%。
冒頭に述べた通り、今にも降り出しそうだ。
「雨が降り出す前に帰れると思ったかい?」
「いや、自転車通学だからな」
「ああ、なるほどね」
傘差し運転は危険なので持たなかったまで。
「では、手短に……っと、言ってる側から」
ポタポタと降り出す雨。佐々木が傘を広げ。
「入りたまえ。特別に傘に入れてあげよう」
意外とかわいい花柄の傘を差し出してくつくつと喉の奥を鳴らして肩を揺らして笑う佐々木のお言葉に甘え、相合い傘を受け入れた。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2023/05/21(日) 23:08:18.21 ID:KwuJkw0kO
「それで? なんの用だよ」
「んー?」
チャリを押す俺の隣を歩きながら傘をこちらに傾けてくれる、やたら上機嫌な様子の佐々木に要件を訊ねると、彼女は勿体ぶって。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2023/05/21(日) 23:09:40.31 ID:KwuJkw0kO
「さて、キョン」
ふと立ち止まって佐々木が本題へと入った。
「少し相談に乗ってくれ」
4:名無しNIPPER[sage saga]
2023/05/21(日) 23:10:45.46 ID:KwuJkw0kO
「期待通りキミは僕の特効薬だったわけだ」
特効薬ね。そう言われても返す言葉に困る。
「なんだよ、佐々木」
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