74: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:32:57.27 ID:EM6Mdgk00
初夏の土曜日。
その日、受験勉強の息抜きに街をぶらついていた。
75: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:33:28.67 ID:EM6Mdgk00
(……地下アイドルってやつか)
あの頃はそういう分野にあまり興味がなかったが、こうやって必死に夢を追っている女の子たちがいることくらいは知っていた。
76: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:34:10.60 ID:EM6Mdgk00
特別に歌がうまいわけではない。
それでも、小さな体から発せられている歌声は、このステージの先にきっとある、夢を信じていたからだろう。
77: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:34:41.03 ID:EM6Mdgk00
その後は、受験勉強を続けながら、あのライブハウスに通っていた。
彼女の出演は土日だけ、しっかり勉強することが地下アイドルを続ける条件だという。
78: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:35:30.29 ID:EM6Mdgk00
「あぁっ!いつもありがとうございますー♪」
型通りの挨拶だった、と思いきや……。
79: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:36:14.03 ID:EM6Mdgk00
それから何度もライブハウスに足を運んだ。
何度かの握手会を重ねる内に、少しずつ、少しずつ、彼女の話を聞く機会も増えてきた。
80: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:36:53.57 ID:EM6Mdgk00
「君がトップアイドルになっても、こんな風に話ができるような仕事が良いな」
そんなことを口走っていた。
81: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:37:33.52 ID:EM6Mdgk00
「もう少しでお誕生日だったんですが……仕方ないですよねっ!頑張って下さい♪」
最後に会った彼女は、本当に寂しそうにしてくれていた。
82: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:38:31.04 ID:EM6Mdgk00
―――目が覚めた。
何度も見てきた夢だけど、ここまで鮮明にあの頃を思い出すのは久しぶりのような気がする。
83: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:39:04.55 ID:EM6Mdgk00
「あら、おはようプロデューサー君」
「おはようございます。川島さん」
84: ◆xMUmPABXRw[sage saga]
2022/11/27(日) 16:39:42.80 ID:EM6Mdgk00
「おはようございます。プロデューサーさん」
「おはよう、佐々木さん」
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