164: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/05(土) 13:59:11.29 ID:Ya9HaHl50
侑「えっと……にこさんってダリアシティのジムリーダーですよね? 私、オトノキ地方のジムリーダーは全員ちゃんと覚えてるから、間違いないはず……」
にこ「ちゃんと予習してきてるのね、感心感心! どこかの誰かさんは、ジムリーダーのことなんか、ほとんど知らずに旅してたのにね。……っと、これはこっちの話だけど」
リナ『どういうこと? ダリアシティのジムリーダーはにこさんで間違いない。ポケモンリーグの公式な情報にもそう記載されている』 || ? ᇫ ? ||
にこ「あら……あなた、もしかしてロトム図鑑? 最近の子は良いモノ持ってるのね……」
侑「え、えっと……あの、それで……にこさんがジムリーダーじゃないって言うのは……。リナちゃんの言うとおり、公式の情報にも載ってるなら、それこそどういうことか……」
にこ「ああ、えっとね。実はそれ、フェイク情報なのよ」
侑「え!?」
リナ『フェイク!?』 || ? ᆷ ! ||
侑「フェイクって……公式にもある情報なのに……?」
にこ「もちろん、リーグの承認も得てるからね。リーグ公認のフェイクジムリーダーってわけ」
歩夢「あ、あのー……」
後ろで話を聞いていた歩夢がおずおずと手をあげる。
にこ「あら、この子の連れの子ね。なにかしら」
歩夢「ジムリーダーって、街のシンボルみたいな人だから、フェイクはまずいんじゃ……」
にこ「もちろん、それも一理あるわ。だから、私は基本的にはジムリーダーと同等の権限を持っているわ。緊急事態には率先して出張ることが多いわね」
歩夢「じゃあ、どうしてフェイクジムリーダーなんか……」
にこ「新しいジムリーダーから提案があったのよ」
侑「新しいジムリーダーからの……?」
なんで、新しいジムリーダーはそんなことを……?
にこ「ジムリーダーってどんな仕事だと思う?」
侑「え? えっと……ポケモンジムでトレーナーからの挑戦を受けて、腕試しをする場所……ですか?」
リナ『補足すると、その腕試しによって、トレーナーの育成を行う意図がある』 || ╹ᇫ╹ ||
にこ「そうね。段階的にトレーナーの実力を試すことによって、トレーナーの育成を行う。それが、ポケモンジムの役割よ。ただ、このシステムには少し不都合があってね……」
歩夢「不都合……ですか?」
にこ「例えば、にこのエキスパートタイプって知ってるかしら?」
侑「フェアリータイプです!」
にこ「そのとおり。にこのエキスパートはフェアリータイプよ。侑の言うとおり、少し予習すればジムリーダーの使うタイプや手持ちはわかっちゃうのよ」
リナ『挑戦をする以上、事前に調べて対策をするのは当たり前のことだと思う』 || ╹ᇫ╹ ||
にこ「それもそのとおり。でも、トレーナーっていつでもどこでも自分が知ってる相手や、起こることがわかっている問題に直面するわけじゃないでしょ? というか、そういう機会の方が稀よ」
それは確かにそうかも……。私たちもつい昨日、そういう場面に直面したばっかりだし。
結果として、せつ菜ちゃんが助けてくれたけど……。
にこ「トレーナーの育成を謳っているのに、本来トレーナーに必要なイレギュラーへの対応能力が全然育たないのは問題じゃないかって、新しいジムリーダーの子から、リーグに対して問題提起があったのよ」
リナ『なるほど。一理ある』 ||  ̄ ᨈ  ̄ ||
にこ「トレーナーは常に自分の足で歩いて、目で見て、耳で聴き、頭を使って戦うべきだってね。だから、このジムではただバトルするだけじゃない。前情報が一切ない相手とどう戦うか、そして……」
侑「そして……?」
にこ「自分が戦うべき相手をどうやって見つけるかの知恵を試すポケモンジムとして、やっていくことになったってわけ」
侑「どうやって見つけるか……? ってことは……」
にこ「ええ、察しのとおり、ここにはそのジムリーダー本人はいないわ。あなたたちは、このダリアシティのどこかにいるジムリーダーを探し当てて、戦わないといけないってこと」
侑「え、ええーー!!」
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