185: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/05(月) 21:29:44.77 ID:0V5CcO3mO
くららは和睦派、敵対派のどちらなのか。
「それも確認が取れませんでした。ですが、直接話をした際、後悔を感じているようにも見えました。
くららさんがリーク者を通じて、私たちに連絡をしてきたかもしれませんが、それを尋ねると彼女は
沈黙しました」
「じゃあ、くららさんはやっぱり……」
「最終的なところは、本人が何も言わなかったので、分かりかねます」
「彼女にも街を一緒に脱出することを持ち掛けましたが、断られましたの。彼女は敵対派、
もとい眷属のリーダー。仲間が魔女の眷属化したことに責任を感じて、街に残ることを
選んだんですの」
「くららさんも眷属化してしまったんですか?」
「彼女には口づけの後はありませんでした。多分、本心では和睦を考えているのでしょう。
それを他の仲間の手前、口にはできなかった」
「そうですか……」
「いろはさん、他に聞きたいことはありますか」
「……そういえば、フォークロアの他の皆さん、学校はどうされてるですか?」
「私も皆さんも休学しました。私以外のメンバーは、今は霧峰村で教授と一緒にいます。
私たちは、湯国で見たこと、聞いたことを報告するために、神浜に残りました」
「そうだったんですね。危険な状況の中、ありがとうございます」
そこで思い出したように外を見ると、外は完全に日が沈んで真っ暗だった。
「長い時間引き留めて、本当にすみませんですの。今、タクシーを呼びますの」
「そこまでしていただかなくても」
「今は状況が状況です。お支払いはこちらを使ってください。おつりは差し上げます」
そういうと、ラビは一万円紙幣を一枚渡してきた。
ラビたちの好意を無碍にすることもできず、いろはは、那由他が呼んだタクシーに乗り、みかづき荘への帰路に着いた。
タクシーは道中、中華万々歳の近くを通ったが、店は既に更地となっていた。
売地となった土地を区画ロープが囲んでおり、いろはは中華万々歳が存在しなくなったことを改めて認識した。
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