182: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/05(月) 21:10:01.22 ID:0V5CcO3mO
「湯国は今や、街全体が穢れに覆われて、魔女の一大拠点となってしまいました。
このまま放っておけば、湯国が滅びるのは時間の問題です」
「湯国の問題がそこまで大きなものになってたなんて。なんで太助さんは
こんな大事なことを、電波望遠鏡で話してくれなかったんでしょうか」
「気を遣ったつもりだと思いますの。……パパは昔から不器用で、そのせいでママとの
諍いも絶えなかったんですの。そのママも、今となっては家を出てしまって……って、
すみません。こんなことを話したかったわけじゃないんですの……」
「湯国のことは、今すぐどうにかなる問題ではないです。お話ししました通り、
湯国は酷い状況で、私たちは、街を生きて脱出することで精一杯でした」
「ラビさん。私たちに自動浄化が始まった連絡をくれたよね。あの時はどんな状況だったの?」
「湯国を離れる前の、最終確認をしていました。街を一緒に出ることを希望する住民がいないか。
その確認と説得をしていたんです。 結論を言えば、うまくいきませんでした」
「うまくいかなかった?」
「私たちが脱出する頃、街に残っていたのは眷属と、市外に行き場がない人たちだけでした。
危険と分かっていても街を出られないと、同行を断られました」
「そうだったんですか……」
「私たちからの話は、一先ず以上です」
「夜分遅くに、長時間お付き合いさせて、すみませんですの」
話はそこで終わった。
いろはは麦茶を一口飲んで眉間に皺を寄せ、いくつか質問を行った。
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