エンド・オブ・ジャパンのようです
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59: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2022/09/23(金) 23:23:43.53 ID:8rRfKGN10
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ぐるぐるぐる。

まるで回転している巨大な独楽の中心から見ているかのように、綾波の視界は回り続けています。

艤装の加護で殺しきれない遠心力、艦娘の身体能力でも抑えきれないGの圧力が、軋むような痛みに変換されて身体中を蝕みます。すぐ隣りにいた浜風さんや他の皆さんの様子を伺う余裕はありませんが、誰一人まともに動けている気配がないのできっと同じような状況なのでしょう。

《───べ!飛べ!!飛べぇええええ!!!》

轟音と耳鳴り、緊急を告げるけたたましいブザー音。様々な騒音に掻き消されそうになりながら、それでも無線から聞こえてきた必死の叫びは綾波の耳に届きました。

「うぅ………」

辛うじて動く両の手になけなしの力を込めて、這うようにして前へ、開きっぱなしになった後部ハッチへと向かいます。

10mもないはずの距離が、とても遠く感じました。艦娘であれば、否、只のヒトであったとしても数秒で歩み切れる距離に何十秒も掛けねばならないことが、この機体に残された時間が少ないであろうことも合わさって酷くもどかしい。

「うぁ…………!」

機内の温度が僅かずつ上がり始めたように思える中、なんとかハッチの縁に手をかけられました。そのまま現時点で注ぎ得る力を振り絞り、ハッチの外へと上半身を乗り出させます。

降下、等という格好のいいものではありません。落下、滑落、或いは排出。ただ逃れるために宙に投げ出した私の身体は、周囲で炸裂する高角砲弾や飛び交う【黒鳥】たちの合間を縫い、重力に引かれるまま眼下の海へとまっしぐらに堕ちていきました。

「わぶっ…………!!?」

海面に叩きつけられた瞬間、半ば意識を手放していたにも関わらず艦娘艤装の防護機能が作動。綾波の全身を包んだ不可視の防壁がそのまま重量によって沈んでいくはずのところを一〜二メートルほどで引き止め、トランポリンが弾むみたいに上へと引き戻します。

眼を開ければ、既に綾波はへたり込むような姿勢で水上にいました。かつて零戦や空母機動艦隊をして名を馳せた皇国の技術力は、70年以上の時を経てなお変わらず世界屈指のもののようです。



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