エンド・オブ・ジャパンのようです
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223: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/04/09(日) 20:48:37.07 ID:MRR6D8+I0
浦賀に黒船が姿を現し強引に徳川幕府を開国に至らせるまで、この島国にとって欧米とはまさに“外界”であった。技術、文明、思想、価値観、全てが未知であり、吸収しようにもぶつかり来るそれらの衝撃が強烈過ぎ、一つ入れる度にこの島国は大いに揺れた。
幾度となく揺れに揺れ、その繰り返しに耐えきれず起きた日本という家屋の大倒壊が明治維新である。

本来ならば向こう数十年はまともな建て直しが困難なほどの倒壊ぶりでありながら、この国はそれを“土台”だけ残して上層建造物のみを破壊するという奇妙なやり方で起こすことに成功した。その為に、武力を伴った国家規模の革命直後にありがちな致命的な混乱を殆ど経験することなく近代国家建設を成し得た。

この“奇跡”が起きた要因を、一概に限定することはできない。国民性や地政学的要因、長年続いた幕藩体制の功罪、様々な要素が複合的に絡み合った結果としか言いようがない。
ただ一点、戦国の頃よりこの国に通されてきた一本の道が、女流鉄砲術から戦車へと至る“道”が、取り分け大きな役割を果たしたという点だけは、恐らくあらゆる視点において共通の見解となるだろう。

一応は、筆者もまた“彼女”とは同時代を生きる人間であるため、その血縁者について語ることに些かこそばゆい思いはある。しかしながらこの人物無くして日本の土台を支えた“芯”について解き明かすことは出来ないため、恥を凌ぎ、筆を執ることとする。

これは日本が中世国から近代国へと至る時代を、幕末から明治へ、そして昭和へと伸びていく【鋼の道】を歩み続けた、一人の女の物語である。




────司馬遼太郎著・【鋼の道にて 西住栄物語】序文より抜粋


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