エンド・オブ・ジャパンのようです
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122: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/12/30(金) 01:03:11.02 ID:1qvzDtlb0
“本職”の軍人であったとしても、明確なオーバーワーク。これを、数年前まで一般人に過ぎなかった男が背負っているという状況で、体力的にも精神的にも軽微な消耗の筈がない。

況してや、彼はあの性格だ。艦娘よりずっと脆い、指揮官である自身を平然と囮に使えるような、艦娘を“使って”戦うのではなく艦娘と“共に”戦うことを躊躇なく選べるような、過ぎた優しさと過ぎた勇気を違和感なく同居させる性格。そんな男が艦娘同士の命を天秤にかけ、片方を捨て駒にするような戦術を本来忌避するだろうことは想像に難くない。

それでも、彼は4時間に渡って逃げること無く采配を振るい続けている。恐らく早晩限界を迎えてもおかしくない、或いは限界を超えて尚指揮を続けている可能性もある。

………だからこそ、ウィーランド達第7艦隊の上層部は【こんごう】のCICに向かって再三再四要請を飛ばしていた。貴艦ニ搭乗中ノ提督ヲ速ヤカニ休養サセルベシ、戦線指揮ハ当方ニテ代理ノ準備アリ、と。なんとしても負担を軽減してやりたいという情もあるし、それ以上にこれほどの指揮官が完全な稼働不能に陥れば“連合艦隊”の喪失に勝るとも劣らない致命傷になりかねなかったからだ。

(幸い、父島艦隊を中核にかなり纏まった艦隊戦力がつい先程前線に投入された。敵随伴艦隊の拡大・流入もやや小康傾向が見られ、ハットウが直接戦線の指揮を取らなければならない意味は僅かに薄れた。しかし、これほど頑なな彼がこの程度の事で納得するだろうか………)

(*^○^*)「ところで、こちらの【要塞】についてはどうなっているんだ?」

「…………はっ」

難解な問題に答えを出せずにいる思考を遮った、ポージーの問いかけ。答えるべく顔を上げるウィーランドだが、その表情には先程までとはまた別種の困惑があった。

流石に、ススム=ハットウに及ぶとまでは言わない。だがポージー=ハメルスもまた卓越した軍才を持っていることは、間近でその手腕を見てきたウィーランド自身がよく知っている。

だが、そんな彼でも今回ばかりは疑いを持たずにはいられなかった。

あんなものが、本当に役に立つのかと。

「グアム島基地より今しがた入電があり、九割方稼働準備が完了していると。………しかし、アレを準備させた意味は一体何ですか?正直、【学園艦棲姫】のような化け物を食い止める力になれる存在だとはとても思えませんが」

(*^○^*)「それは見てのお楽しみさ。……さて、じゃあ概ね下準備も終わったし行ってこようかな。

後を頼んだよ、親父」

「指揮は私の方で引き継ぎますから構いませんが………このような時にどちらへ?」

(*^○^*)「何、ちょっとばかり勤勉過ぎるAdmiralと談笑でもしに行こうと思ってね」

椅子から飛び降りたポージーに尋ねると、何時もの笑みと共に彼は振り向きつつそんな答えを返してきた。

顔のすぐ横で、固めた握り拳をヒラヒラと揺らしながら。








(*^○^*)「アンタから教わったことなんだ。頭に血が上ったやんちゃな若造の暴走を止めるには、結局年長者の拳が一番効果的だってね」


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