111: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/11/25(金) 22:39:54.30 ID:6zQ8/6i00
(*^○^*)「理由は?」
「…………ギルゼン=コールマン州知事は、ベーリング海に出現した深海棲艦に対応するため、と」
(*^○^*)「例の【防共協定】はベーリング海並びにアラスカ全域を対象としている。既に日露それぞれの鎮守府が艦娘部隊と基地航空隊を派遣して海域全体の掃討・索敵を開始しているはずだけど?」
あくまで平坦な、ただ“疑問を口にしている”に過ぎないポージーの口調。だが、烈火のごとく怒り今にも罵声を吐く寸前の上官に相対している時よりも、遥かに大きな「圧」がポンセの首を締め上げる。
「州知事曰く、“広大な海域故【不測の事態】に対応し得る予備戦力を残存させておきたい”とのことで」
(*^○^*)「ワイオミング州、ノースダコタ州、ネブラスカ州、これらの州軍による増援部隊はもう到着してる筈だよね?何のために【カーヴィル・ドクトリン】があると?」
口調は変わらずも、「圧」は更に増した。少なくとも、笑みの裏に隠された明確で激烈な怒りの影を感じ取れる程度には。
無論その怒りはポンセに向けられたものではないが、彼は自身が叱責されているがごとく生唾を飲み込む。
「お怒りは、至極御尤もです」
辛うじて絞り出した一言は、自分でも情けなくなるほどか細く、そして言い訳じみたものであった。ただポンセ自身の名誉のために添えるなら、これ自体は彼の非常に素直で正直な心情ではある。
ベルリン陥落の直前に結ばれていた、アメリカ・日本・ロシアの3ヶ国による対深海棲艦相互防共協定。
その内容は【オペレーション・オリョール】という“下地”の存在もあって極めて強固かつ具体的な防衛戦略要項となっているが、分けても綿密に練られていたのはベーリング海の防衛計画に関するものだった。
アラスカ州は成立に至る経緯もあってアメリカ本土から切り離されており、ベーリング海で再び大規模な攻勢が行われた際に沿岸防備が難しい。その為“有事”に際しては海上自衛隊が千島列島方面から、ロシア軍がカムチャッカ半島方面からこれを側面支援する形で展開し、ベーリング海全域の掃海・機動防御を行う手筈となっている。
一方でアラスカ州軍……取り分け空軍に関しては、「三軍全体での遊撃的予備戦力」と定義され、「作戦海域外の他方面において“有事”が発生した場合を含めたあらゆる事態に対して出撃する」ことが取り決められた。
要は、日本とロシアが──ベーリング海の制海権が彼らの安全保障にも直結するからこそとはいえ──自国防衛の戦力を割いてまで手厚くアラスカ州の守護を肩代わりする分、同州の航空戦力を両国で起きた“不測の事態”に対する予備戦力として扱うことを協定上で許可しているわけだ。
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