星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
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3: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:30:21.32 ID:Sev9O2YP0
「今日は来てくれてありがとう」

曲が終わり、彼女は客席に向かって語る。
歌唱中とは打って変わって荒々しさが抜け、年相応の可愛らしい声と風貌となった。
マイクを使っているからなんとか聞こえるが、もはや観客の声の方が大きい。
だが観客は、そんな彼女を微笑ましそうに見つめている。
『これ』を含めて彼女という事を皆理解しているのだろう。

「輝子ー!!」「最高だった!!」「カッコ良かったよ!!」

観客が口々に叫ぶ。彼女への賛辞を、愛を彼女にぶつける。
彼女は「フヒッ!?」と小さく声を漏らすと、恥ずかしそうに余所を見ながら頬を掻いた。
「大好きー!!」「最後のシャウト良すぎ!!」「かわいいー!!」
彼女の顔がどんどん赤くなっていく。
頬を掻いていた手をそのまま顔に押し当て、真っ赤になった顔を隠す。
それでも鳴り止まない観客の声に彼女は俯き、プルプルと震え出す。
そんな彼女を皆笑いながら見ていると、空気の感じが僅かに変わった。
どこかで、いや、つい先ほど感じたような、一触即発の危うさを感じた瞬間。

「ヒィィイイヤッハァーーーッ!!!」

彼女は大きく、大きく叫んだ。
瞳孔の開いた目で客席を睨み、観客に指をさす。

「そこのメガネ!そこのドクロTシャツ!お前も!お前もお前もお前も!!」

観客の一人一人に指をさしていく。
小さな会場、僅かな観客。いや、最高のステージに集まってくれた
最愛のファンに一人残らず人差し指を突きつける。

「てめェらの顔覚えたからな!!次のライブも絶対ェ来やがれ!!」

そう叫んだ後、彼女は軽く呼吸を整え、小さく手を振った。

「じゃ、じゃあ、またね」

観客は万来の拍手を送る。
大歓声の中、ライブは終了した。


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